6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

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平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

問1 絵カード

 絵カードとは、その名の通り絵が描かれているカードです。それを学習者に見せることで授業を進めていきます。

選択肢1

 空腹の様子を描いた絵カードを見せて「食べたいです」と言わせるように、絵カードにはキューとしても使うことができます。

選択肢2

 例えば起承転結の起を表す絵が描かれたカードを見せて、この後の続きを考えてくださいみたいな口頭テストでしょうか…。絵カードなら一応できます。現実的じゃない例ですが。

選択肢3

 抽象的な概念を表す語の意味は、絵で表しにくいです。絵カードに向いてません。

選択肢4

 これも選択肢1と同じく、受身形を使う場面を絵で表現し、受身文を作らせるようなキューとして使うこともできます。

 したがって答えは3です。

問2 内容の聞き取りを目的とした初級聴解教材

選択肢1

 聴解問題は未習のものも少し含めるっていうのが一般的。なぜかというと全部知っている言葉ばかりだと聴解の意味がないからです。一部分からない言葉があるけど、他の分かる言葉から推測してみたいな能力を養うためにも、未習のものはある程度あったほうがいいです。

選択肢2

 遅すぎると自然ではない会話になってしまうので、ネイティブの速度とまではいきませんが、ある程度不自然じゃないくらいのスピードが適当。そのうえで聞いてる人は考える時間が必要なので、不自然じゃないところでポーズ入れたりするのもいいですね。

選択肢3

 聴解問題、冒頭は普通「女の子と男の子が話しています。今からどこに行きますか?」みたいな説明があってから問題に入ります。こうやってあらかじめ状況説明しておくとプライミングが活性化して内容が聞き取りやすくなります。

選択肢4

 これは正しいです。学習項目を含んでいることも重要ですが、それが現実の場面で使えるのかどうかも考慮すべきです。また、学習者のニーズによっては導入が急がれる緊急性の高い項目もあるかと思います。そういうのも入れるかどうか考えたほうがいいですね。

 したがって答えは1です。

問3 ロールプレイで重要な要素

 ロールプレイやディスカッション、ディベートは、コミュニカティブ・アプローチ(Communicative Approach) の考え方を反映した言語活動で、現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行うのが特徴的です。これらはコミュニケーション能力の育成を中心としているため、インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の三要素が組み込まれた言語活動が行われるのが好ましいとされています。

 選択肢4に「選択権」「反応」とあります!
 したがって答えは4です。

 ロールプレイ ⇒ これはコミュニカティブな活動だなー ⇒ つまりインフォメーションギャップ、チョイス、フィードバックか!
 っていう感じで解きます。

問4 サイレントウェイ

 サイレント・ウェイ
 ガッテーニョ(C.Gattegno)によって提唱された教授法。「真の習得は気づき(アウェアネス)なしには起こらない」という立場から、教師はできるだけ沈黙し、学習者自らが規則や体系を発見して学んでいくことを支援する教授法。ロッド、サウンド・カラー・チャート(色付きチャート)、ポインター(指示棒)などの独自の道具を用いて指導する。

 サイレント・ウェイは他の教授法にない独特な道具を用います。ロッド、サウンド・カラー・チャート(色付きチャート)、ポインター(指示棒)などです。この言葉が来たらサイレント・ウェイです!

 したがって答えは3です。

問5 先行シラバスと後行シラバス

 シラバスはその完成時期から3つに分けられます。

先行シラバス コース開始前に完成されているシラバスのこと。
後行シラバス コース実施中に学習者の要求に基づいて教育を行っていくことで、結果的にコース終了後に完成するシラバスのこと。
プロセスシラバス 先行シラバスと後行シラバスの特徴を組み合わせたシラバスで、コース開始前にデザインされたシラバスを、コース中に学習者の要求に基づいて柔軟に変更しながら行っていく。

 ここで出題されてるのは先行シラバスと後行シラバスだけ。

先行シラバスの記述 先行シラバスの記述
先行シラバスの記述 後行シラバスの記述
後行シラバスの記述 後行シラバスの記述
後行シラバスの記述 先行シラバスの記述

 したがって答えは2です。




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