6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

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平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

問1 ニーズ

 コースデザインはニーズ・レディネスの調査、シラバスデザイン、カリキュラムデザインの3段階です。

ニーズ調査 目標言語調査 その学習者が将来遭遇するであろうと予測される場面において、母語話者は実際どのような日本語を使用しているのかを調査すること。
目標言語使用調査 その学習者が実際にどのような日本語を使用しているかを知るための調査。
レディネス調査 学習者の学習条件を調査・分析すること。調査・分析対象は、自分の意思や都合では決められない学習者の母語や母文化、年齢、今までの学習期間、経済的要因、学習環境などの外的条件と、学習者の個人的な条件である学習スタイル、日々の学習時間、現在のレベル、外国語学習経験などの内的条件に分けられる。
シラバスデザイン ニーズ分析、レディネス分析の結果に基づき、そのコースで学習者に何をどう教えるのか、授業計画(シラバス)を検討する段階。
カリキュラムデザイン コース実施に必要な事柄の確定をする段階のこと。教授法、教室活動、教材の選定・作成、授業の流れ、学習項目の順序や時間配分などの具体的な教案、テストや評価について決めます。

 1 正しいです。周囲の環境が変わると、ニーズは変わります。
 2 学習者の学習能力、学習態度、学習ストラテジーは学習条件なので、レディネスです。
 3 必ずしも共通するとは限らないです。こういう言い切りの選択肢は間違いなことが多いです。
 4 文化が同じならニーズも同じというのは言い過ぎです。ニーズは人によって異なります。

 したがって答えは1です。

問2 レディネス

 レディネスについては問1の表参照。

 1 分かりやすく「学習条件」という言葉があるので、レディネス調査です。
 2 目標言語調査はニーズ調査に含まれます。
 3 学習ビリーフとは、どのようにすれば言語を習得できるかという考え方のことです。その学習者が持っている考え方について知っておくことはレディネス調査です。
 4 学習者が自分の学習を自ら管理して進めていく自律学習では、自分の学習を手伝ってくれる周囲の人、あるいは学習に役に立つ人は人的リソースに分類されます。人的リソースは学習環境と関係しているので、レディネス調査で行います。

 したがって答えは2です。

問3 特定の学習者を対象にした特定の目的を持つコース

 1 一般的な初級コースと同じなので、特定の目的はありません。
 2 一般的な初級コースと同じなので、特定の目的はありません。
 3 「観光ガイド」という特定の目的を持っています。
 4 特定の学習者ではなく、特定の目的もありません。

 したがって答えは3です。

問4 自律学習

 自律学習(学習者オートノミー)とは、学習者が自分の学習を自ら管理して進めていく学習方法のことです。
 自律学習は一人で計画して一人で学習することだとよく間違えられますので注意してください。正しくは必要な場面で教師や教材、教育機関などの周囲のリソースを利用して学習を進めていくことです。教師は学習者の学習に積極的に介入することなく、ファシリテーター、カウンセラーとして振る舞います。

 1 自律学習と自習は違うものです。自律学習は教師による支援がありますが、自習は全部自分でやることです。
 2 自律学習の学習内容は教師と学習者が相談して決めます。決まっている課題をやるわけではありません。
 3 自分の学習成果は自分でも評価しますし、教師からも評価されます。その様子によって学習内容を変えたりします。
 4 正しいです。

 したがって答えは4です。

問5 モジュール型教材

 モジュール型教材とは、各回完結型の教材のことです。どの課をどの順番で使うかは自由に決められるため、学習者のニーズやレディネスに合った授業ができます。

 したがって答えは3です。

 




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