平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説

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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説

問1 フェミニズム

 1 「男らしさ」や「女らしさ」を重視する性差別者
 2 女性の社会・政治・法律上の権利拡張を主張する考え方
 3 帝国主義、植民地主義に対する反省的な態度を意味する思想
 4 進歩主義や主体性を重んじる近代主義や啓蒙主義を批判し、そこから脱却しようとする思想運動

 女性に関することばや話し方の特徴の研究は選択肢2のフェミニズムにより増えてきたようです。
 答えは2です。

問2 ポリティカル・コレクトネス

 性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用するポリティカル・コレクトネスと関係あります。例えば「保母さん」というと字的に女性だけの保育士を指しますが、実際は男性の保育士もいるから、まとめて「保育士」と呼ぶなどの動きのことです。

選択肢1

 「父母参観」も「父兄参観」も「父兄」とか「父母」が特定の性別の人物を指す語が含まれているので、性差別的な意味合いを回避していません。

選択肢2

 「女医」も「女性医師」もいずれも女性を表す語がついているので性差別的な意味合いを回避していません。

選択肢3

 「看護婦」の「婦」が女性を指します。これを「看護師」とすることで字的に女性限定ではなくなりました。性差別的な意味合いを回避してます。これが答え。

選択肢4

 -ess は女性を表す接尾辞で、stewardess(スチュワーデス)、hostess(ホステス)、princess(プリンセス)などの語に含まれています。この接尾辞は性差別的な意味合いを含むので、現代では「客室乗務員」や「CA」と呼ばれています。ちなみに「スチュワード」は男性の客室乗務員を指すので、以前として性差別的な意味合いを含みます。この選択肢は間違い。

 答えは3です。

問3 言葉遣いにおける男女差

 1 男子中学生は「わたし」とあまり使いませんが、女子中学生は使います。
 2 「~だね」の男女差は小さくなってきています。
 3 「すみません」は男女に関係なく使われます。
 4 「お疲れ様でした」は男女に関係なく使われます。

 答えは1です。

問4 スタイルの社会言語学的な定義

 スタイルとは、場面に応じて使い分ける言葉のバリエーションのことです。

 選択肢4はダイグロシアの説明です。
 ダイグロシア (diglossia)とは、ある社会において高変種と低変種の二つの言語変種が存在し、それぞれが場面や状況によって使い分けられている状態のこと。高変種とはいわゆる公的な場面で使用される言語形式のことで、H(High)変種とも呼ばれる。低変種は口語や方言において現れる、より私的な場面で使用される言語形式のことで、L(Low)変種とも呼ばれる。

 したがって答えは2です。




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