6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

慣用句とは?

慣用句(idiom)

 慣用句(idiom)とは、結合した語と語がひとまとまりとして特定の意味を持つようになった言語形式のことです。「油」「を」「売る」が結合した言語形式「油を売る」などを指します。

 (1) 油を売る
 (2) 頭に血が上る
 (3) 口を割る
 (4) 虫の居所が悪い

 慣用句は構成要素間の結びつきが非常に強いため、その結びつきを阻害するような操作ができません。例えば「油を売る」の「油」を類義語の「オイル」に変えると意味が分からなくなります。「売る」を「叩き売りする」にしても、語と語の間に「とても」を挿入してもダメです。

 (5)  油を売る
 (6) *オイルを売る
 (7) *油を叩き売りする
 (8) *油をとても売る

 慣用句の意味はその構成要素の意味の総和から導くことができません。「油を売る」は「油」「を」「売る」のそれぞれの意味の総和から算出しえない「仕事を怠ける」という意味を持ち、特殊な意味を持つようになっています。

参考文献

 漆原朗子(2016)『形態論』39頁.朝倉書店
 森山卓郎,渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』42頁.三省堂




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