連体詞
連体詞とは、それ自体が活用せず、必ず体言(名詞)を修飾する語です。体言を修飾する語を連体修飾語と言い、連体詞は連体修飾専用の語です。
たいした、とんだ、ふとした、たいそれた、れっきとした、こんな、そんな、あんな、大きな、小さな、おかしな、いろんな、ひょんな、あじな、ろくな、めったな、わが、われらが、この、その、あの、どの、例の、かの、件(くだん)の、ほんの、当の、ある、あらゆる、いわゆる、かかる、いかなる、更なる、去る、来る(きたる)、とある、あくる、なんたる、さしたる、堂々たる、確たる、最たる、主たる、名だたる、単なる、微々たる、何たる…
このうち「この」「その」「あの」「どの」「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」は代名詞にも分類され、品詞分類で連体詞とまたがります。
活用しない連体詞
ここでいう活用とは、「食べる」に対する「食べます」「食べた」、「おいしい」に対する「おいしくない」「おいしかった」、「静かだ」に対する「静かな」「静かに」などの語形変化を指します。連体詞はこのような語形変化をしません。つまり、連体詞「あらゆる」が「あらゆります」「あらゆらない」、「大きな」が「大きだ」「大きに」などとその語形を変えることはありません。
(1) かさなる → かさなります (動詞)
(2) あらゆる → ✕あらゆります (連体詞)
(3) 静かな → 静かだ (ナ形容詞)
(4) 大きな → ✕大きだ (連体詞)
必ず名詞を修飾する連体詞
名詞を修飾できる語の代表として動詞、イ形容詞、ナ形容詞などがあります。連体詞はこれらと同じく名詞を修飾できます。
(5) 買ったもの (動詞が名詞を修飾)
(6) 重いもの (イ形が名詞を修飾)
(7) 綺麗なもの (ナ形が名詞を修飾)
(8) 最たるもの (連体詞が名詞を修飾)
しかし連体詞は名詞以外には修飾できません。動詞を修飾する例を見てみましょう。
(9) 黙って食べる (動詞が動詞を修飾)
(10) 早く食べる (イ形が動詞を修飾)
(11) 静かに食べる (ナ形が動詞を修飾)
(12) ??? (連体詞が動詞を修飾)
動詞、イ形容詞、ナ形容詞は動詞を修飾できますが、連体詞にそのような用法は存在しません。動詞に限らず、連体詞は名詞以外の品詞を修飾することはありません。
参考文献
森山卓郎・渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』163頁.三省堂
コメント