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令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(14)解説

令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(14)解説

(14)副詞的成文と述語の関係

 この問題いい問題です! 副詞がどんな働きをしてるのか見極められるかどうか。
 仁田(2002)は副詞的修飾成分を文の意味と統語機能の面から分類しました。この分類では結果の副詞と呼ばれる分類があり、「動きが実現した結果の局面を取り上げ、動きが実現した結果の、主体や対象の状態のありようについて言及したもの」(仁田 2002: 49)と定義されています。その例として次のものを挙げています。

 (1) 体を二つに割る (結果の副詞)
     →結果の局面を取り上げ、割れた結果、体が二つになっている

 ですから、副詞が述語の結果の局面を取り上げているかどうかを見極めましょう。次のように言い換えればいいです。

選択肢1

 副詞「粉々に」+述語「砕け散った」
 →砕け散った結果、粉々になった

選択肢2

 副詞「軟らかく」+述語「煮込んだ」
 →煮込んだ結果、軟らかくなった

選択肢3

 副詞「さっと」+述語「炒めた」
 →✕炒めた結果、さっとなった?
 →〇炒め方が「さっと」 (「さっと」は「炒める」の様態を表す副詞)

選択肢4

 副詞「ふっくら」+述語「焼き上がった」
 →焼き上がった結果、ふっくらした

 選択肢5
 副詞的成文「淡い桜色に」+述語「塗った」
 →塗った結果、淡い桜色になった

 こんなふうに言い換えると一目瞭然。選択肢3だけ他と違います。3だけ仁田のいう「様態の副詞」、それ以外が「結果の副詞」。
 答えは3です。

 参考文献:仁田義雄(2002)『副詞的表現の諸相』くろしお出版




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