6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

【練習問題】(681)言語変種

【練習問題】(681)言語変種

話し手の社会的属性によって使い分ける言語変種を何というか。最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
 
 1 レジスター
 2 社会方言
 3 ポライトネス
 4 ダイグロシア











解説

選択肢1

 その場面の状況によって使い分けられる敬語、丁寧体と普通体などの文体などのことをレジスター(言語使用域)と言います。よく挙げられる例は「ママ」。子供が母親に対して呼びかけるときは「ママ」を使いますが、学校では「お母さん」や「母」になります。状況が変わったことで同じ意味の言葉を使い分けています。

選択肢2

 これが答え。
 日本語といっても地域によって違うし、その人の社会的属性によっても言葉遣いは変わります。こういった一つの言語の中に存在する色々な言葉の種類のことを言語変種と言い、特に地域によって異なる言葉を地域方言、社会的属性によって変わる言葉を社会方言と言います。
 地域方言は私たちが「方言」と呼ぶものを指しています。性差、年齢差、職業、嗜好などで変わるような言葉が社会方言です。

選択肢3

 この選択肢を選んだ人はポライトネス理論をうわべだけ知っている状態なので危険です。
 ポライトネス理論は話し手の社会的属性によって使い分けているわけではありません。相手のフェイス(欲求)に配慮したり、あるいは無視したりして言葉遣いを変えることを説明する理論です。
 ちなみにポライトネスは丁寧さ、友好性といった意味です。

選択肢4

 ある社会において2つの言語や2つの言語変種(方言など)が存在していて、それらが使い分けられている状態のことをダイグロシアと言います。
 例えばある地域で英語とその国の言語がどちらも使われている場合、それはダイグロシアです。
 日本は日本語しかないのでダイグロシアではないと思いがちですが、日本標準語とその地域の方言が混在していて、場面によって使い分けられていることが普通なのでやっぱりダイグロシアです。

 したがって答えは2です。




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