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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

問1 情報が共有されている場合

選択肢1

 文脈指示のア系は記憶の中にある過去の出来事を指すので、別名記憶指示と呼ばれています。話し手と聞き手がその会議に参加していた共有の記憶を指して「あの会議」と言ってます。これが答え。

選択肢2

 この言い方だと、来週出張に行くことは「私」しか知らないです。

選択肢3

 詠嘆の終助詞と言ってるので、これは一人で感傷的になってるものだと思います。情報共有ではありません。

選択肢4

 知らないから疑問の「の」を使ってます。自分は知らない、相手は知ってる。情報共有はされていません。

 したがって答えは1です。

問2 話し方を変える

 これはオーディエンスデザインに関連する出題。これ勉強不足なのであとで更新します!(2023/12/30)
 下線部にしたがって、話し手と聞き手に加えて、本来の聞き手意外の存在がいるかどうか、またその存在が話し方を変えているかどうかを見ていきます。

選択肢1

 職員は話し手、聞き手は住民。本来の聞き手以外の存在はいません。
 この選択肢は間違い。

選択肢2

 話し手は候補者、聞き手はインタビュアーですが、本来の聞き手以外の存在として地元の聴衆がいます。
 候補者はインタビュアーを介し、地元の聴衆に向けて地域方言で答えることをしています。これは下線部Bと一致します。
 これが答えです。

選択肢3

 話し手は校長先生、聞き手は保護者と地域住民です。
 本来の聞き手以外の存在はいないのでこの選択肢は間違い。

選択肢4

 話し手は就職活動中の学生、聞き手は面接官です。
 本来の聞き手以外の存在はいないのでこの選択肢は間違い。

 答えは2です。

問3 「って」

 こういう問題は何か別の言い方に言い換えられるかどうかを試してください。

選択肢1

 「予報が変わって、晴れるって(言ってたよ)」と後件に「言う」などの動詞がきそうです。この「って」は「晴れると(言ってたよ)」と「と」に言い換えられるところを見ても分かるように、もともと引用の「と」でした。
 つまりこの「って」は引用を表す形式。

選択肢2

 「先に帰るって(言ってたよ)」とこれも「言う」などの動詞が後件にきそうです。「と」に言い換えられますので、選択肢1と同じく引用の「と」。

選択肢3

 「ないって(言ってたよ)」と言えないから、引用の「って」じゃないことは分かります。
 この「って」は相手の言葉に対する反問、主張を表すものです。

選択肢4

 「再来月に来るんだって(言ってたよ)」と言い換えられるから引用の「って」

 異なるのは3。答えは3です。

問4 非優先応答

 非優先応答の前に、隣接ペアについて簡単に。
 隣接ペアとは、挨拶に対する挨拶、問いに対する返答、誘いや申し出に対する返答などのお互いにペアとなっている2つの発話のことです。次の会話例では、誘いに対する受諾がペアとしてまとめられる発話となっています。

 A:暇? 遊びにいこう。 (誘い)
 B:いいよ。 (受諾)

 そして、隣接ペアにおいて、相手が産出する可能性がある複数の応答の中で、最も期待される応答のことを優先応答、期待にそぐわない応答を非優先応答と呼びます。誘いに対して受諾するのが最も期待される応答なので、上記会話例のBは優先的応答の例です。仮にBが「無理」などと拒否した場合は期待される応答ではないので非優先応答となります。

 1 「問い」に対する優先応答は「返答」、非優先応答は無視とか。
 2 「申し出」に対する優先応答は「受諾」、非優先応答は「拒否」
 3 「苦情」に対する優先応答は「謝罪」、「弁明」は非優先応答
 4 「要請」に対する優先応答は「許可」、非優先応答は「拒否」

 よって答えは3です。

問5 口頭のパフォーマンス・テスト

 文章中では口頭のパフォーマンス・テストとしてロールプレイが挙げられています。口頭能力を測るテストは被験者に何か言わせるようなことをさせるので、ロールプレイとか、面接とか、そういうのが口頭のパフォーマンス・テストとして向いています。これを実施する際に注意すべきことは…

選択肢1

 どんな場面でも即興的に話せるのは理想的ですけどそれは母語話者のレベルであって、学習者であればとても難しい。テストではざっと場面説明を行って、”その場面に対して即興で対応できるかどうか”を見るのがいいと思います。この選択肢は間違い。

選択肢2

 「テストでは課題遂行能力を評価します」などとはっきり評価基準を示しておけば学習者はその点頑張ればいいと分かります。何も分からない状態だとかえって緊張感や不安感が高まります。この選択肢は間違い。

選択肢3

 モデル会話通りに進んでいると高評価ってのはちょっと…。口頭能力は特に即興性を必要とするので、準備通りに進められているかどうかは本当に口頭能力を測定しているとは考えにくい。モデル会話から逸脱しても対応できるかどうかを評価すべきだと思います。
 この選択肢は間違い。

選択肢4

 現実場面での運用能力を測定するのは一番良いこと。真正性が高い。

 答えは4です。




コメント

コメント一覧 (3件)

  • 問2はほんと、悪問ですねえ。
    テストの時は、私は「保護者と地域住民に向かって」とあるので、本来の聞き手が保護者と地域住民だと思ったのです。
    「保護者の方はあちらの席でご覧ください」みたいなことを言ってる場面をイメージしました。だから迷うことなく2を選びました。
    アルクさんの答えが3だったので、なんでそうなる~と思いましたが、よく読むと、たしかに小学校の運動会の開会式だし、本来の聞き手は小学生で、たまたま顔が保護者に「向かって」いるだけなのかもしれず、
    話している内容によるので、この文だけだとよくわかりませんね。
    でも、選択肢2は、はっきりと「意識して」という言葉を使っているので、出題者としては2を選ばせたいんじゃないかと思います。選択肢3を選ばせたいのなら「小学校の運動会の開会式で、校長先生が保護者と地域住民を意識して」とするんじゃないでしょうか。

  • 私はアルクの速報を見て「本来の聞き手」の解釈がちがったのかーと思いました。校長が保護者や地域の人に向かって話すときは、そこに向かって話してるので、保護者や地域の人は「本来の聞き手」になるという解釈。インタビューの「本来の聞き手」はインタビュアーで、その模様をテレビ中継か何かで見ている人は「本来の聞き手」ではないと。でもインタビューが中継だったらそもそもそれを見る人のために代表してインタビュアーが話を聞くわけだから、視聴者は「本来の聞き手」なのでは?と悩みました。悩みましたが時間がなく、「あー、もう、わからんぞ!」と半ばヤケクソで2を選びました。これ、一人の人間の話の途中のコードスイッチングの有無を問う問題だったんでしょうか。

  • 問題12問2は選択肢2を選びました。
    先生の解説と同意見ですが、候補者にインタビューしているのは「共通語」のインタビュアー。それに対して候補者はインタビュアーではなく「地元の聴衆を意識して」地域方言で答えるのは、下線部Bの記述「本来の聞き手以外の参加者の存在」を意識していることと合致します。
    選択肢3の可能性もあるようですが、私の経験上、小学校の運動会では、児童も保護者も地域住民もその場にいて校長先生の挨拶を聞いています。口調を替えたのは、児童に向けた挨拶、保護者と地域住民に向けた挨拶を使い分けただけで、下線部Bの記述と合致しません。

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