準体助詞
用言の連体形や名詞について、文中に現れる体言の代用となり、全体として体言に準じたまとまりを形成する助詞を準体助詞と言います。以下の例文にある「の」を指します。
(1) 事を荒立てるのは良くない。
(2) 隣の部屋が静かなのが気になる。
(3) この店で一番おいしいのはパスタです。
(4) 1945年以前のはこの本に書かれています。
(5) そのコップは彼のです。
例(1)(2)の「の」は名詞「こと」、(3)は「もの」、(4)は「のこと」、(5)は「のもの」に言い換えられることから、これらの「の」は名詞「(の)こと」「(の)もの」の代用となっていると考えられ、この点から準体助詞の「の」は名詞(形式名詞)としても捉えられることがあります。
例(1)~(3)は「の」に前接する節「事を荒立てる」「隣の部屋が静か」「この店で一番おいしい」を名詞句化して、「事を荒立てるの」「隣の部屋が静かなの」「この店で一番おいしいの」と名詞に準じたまとまりを作る機能を有します。(4)(5)の「の」は前節する名詞「もう一つ」「彼」の意味を限定する「~のこと」「~のもの」と同等の機能を持ち、それ全体として「1945年以前の」「彼の」で名詞に準じたまとまりを作っています。
参考文献
近藤安月子(2008)『日本語学入門』17頁.研究社
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