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平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

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平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 丁寧体と普通体の違い

 一般に「です」「ます」などの文末の形式を丁寧体と呼び、「~だ」「~である」などの形式を普通体と呼びます。各選択肢に丁寧体や普通体が含まれるか見ます。

 1 「いらっしゃる」は尊敬語、「どちら」は丁寧体
 2 「ありがとうございます」は丁寧体、「ありがとう」は普通体
 3 「召し上がる」は尊敬語、「ですか」は普通体
 4 いずれも「~です」で丁寧体

 丁寧体と普通体の違いが現れる例文の組み合わせとしては選択肢2が適当です。選択肢1と3は敬語が含まれる点で不適当、選択肢4は丁寧体しか含まれていません。
 答えは2です。

問2 丁寧すぎて相手に違和感を与える表現

 1 お客さんに対する表現として適切
 2 初対面の人に対する表現として適切
 3 取引先の人に対する表現として適切
 4 同年齢でクラスメートなのに敬語を使うのは語用論的に不適切になることがあります。「ペンを貸してくれない?」などと普通体を使うほうが不自然さがなくなりやすい。

 答えは4です。

問3 スタイルの使い分け

 ここでいう「スピーチスタイルの使い分け」とは、一般には文末の形式に注目して、丁寧体と普通体が切り替えられる現象を指します。これはスピーチレベルシフトと呼ばれています。各選択肢において丁寧体と普通体の切り替えが起きるかどうかを見ます。

 1 男性講師だろうが女性講師だろうがスピーチレベルはどちらも丁寧体
 2 ディベートでは丁寧体が用いられます
 3 敬語と丁寧体は一緒に使われるのでスピーチレベルはシフトしません
 4 会議では丁寧体、家では普通体。こういう授業だと普通体と丁寧体の違いが学べます

 よって答えは4です。

問4 待遇表現の指導

選択肢1

 目上の人に「中国語はできますか?」などと能力を問う質問をすると失礼にあたる可能性があります。日本語では目上の人に能力を問う質問をするときは注意が必要です。この選択肢は適当。

選択肢2

 日本語は相手が目上であってもウチの人であれば敬語は使わないし、目下や対等であってもソトの人であれば敬語を使います。このような敬語の使い方は相対敬語と言います。この選択肢の内容は日本語ではなく、韓国語に見られる絶対敬語で不適当。これが答え。

選択肢3

 自称詞「俺」「あたし」などは公式な場面では使えませんので、場面や人間関係によって変えるべきです。この選択肢は適当。

選択肢4

 苦情や文句を言って何かをやめて欲しい時には「やめてくれませんか?」などと依頼表現を使うのは日本語でよく見られる言語行動です。直接「やめてください」という場合もありますが、まずは依頼表現が使いやすい。この選択肢は適当。

 答えは2です。

問5 ロールカードを作成する際の留意点

 ロールプレイは会話の目的や役割、状況を明示して、その役割に応じた会話をグループで進める活動のことです。その目的や役割、状況を参加者に示すために用いるのがロールカード。ロールカードの内容はしっかり理解しないと活動に支障をきたすため、媒介語で書かれることもあります。

選択肢1

 ロールプレイでは参加者は目標に向かって自由な発話が求められます。ロールプレイに具体的なセリフを書いておくことはありません。この選択肢は間違い。

選択肢2

 役割を誤解するとロールプレイがうまくいかなくなる可能性があるので、誤解しないためにロールカードには学習者の母語や媒介語で指示を書く場合があります。「指示文を日本語で書く」が間違い。

選択肢3

 正しいです。初級ではある程度易しめの、上級では難しめのという具合に調整したほうがいい。 

選択肢4

 ロールプレイは参加者が目標に向かって主体的にやり取りを行う活動です。ロールカードには使う文型と順番を書いたりしません。基本的には、どのような語彙を使うか、どう言うか、どう振る舞うかは全て参加者が決めます。

 答えは3です。




コメント

コメント一覧 (1件)

  • こんにちは。
    問1の選択肢3「何が食べたいですか」は丁寧体ではありませんか?

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