文法・音声対策講座が7月28日(日)からはじまります。残りお席わずか

平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

目次

平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

問1 名詞修飾表現における内の関係/外の関係

 「私が愛用しているこのギター」は「私はこのギターを愛用している」と言い換えられます。こういうのが内の関係です。逆に「私が愛用しているこのギターの値段」はどうにもこうにも言い換えられません。言い換えられないのは外の関係です。
 要するに名詞修飾節と被修飾名詞の間に格関係があれば内の関係です。

選択肢1

 政府の中途半端な景気対策を批判する声 ⇔ ???

選択肢2

 留学生のキムさんが昨夜訪れたレストラン ⇔ 留学生のキムさんは昨夜レストランを訪れた

選択肢3

 洋子と湘南まで海水浴に行った日曜日 ⇔ 洋子は日曜日、湘南まで海水浴に行った

選択肢4

 個人情報流出問題について社長が行った会見 ⇔ 社長は個人情報流出問題について会見を行った

 1は外の関係、2、3、4は内の関係です。
 したがって答えは1です。

問2 「という」が挿入できる場合

 名詞修飾表現の「外の関係」において、名詞句を構成するために「という」が挿入される場合とされない場合があります。

選択肢1

 【彼女が複数の男と関係を持っているという噂】を耳に挟んだ。
 「という」を挿入するほうが自然

選択肢2

 【先生の「授業中は静かにしろ」という注意】で学生は静まりかえった。
 「という」を挿入するほうが自然

選択肢3

 【他人に迷惑をかけてはいけないという考え】があります。
 ✕【他人に迷惑をかけてはいけない考え】があります。
 「という」を挿入したほうが自然

選択肢4

 【キッチンから母が作るカレーの匂い】がする。
 ✕【キッチンから母が作るカレーという匂い】がする。
 「という」を挿入しないほうが自然

 したがって答えは3です。

問3 アスペクト表現

 アスペクトとは、述語が表す事象の完成度を表す文法形式のことです。たとえばこんな感じ。

直前 荷物を置くところ
開始 荷物を置く
進行中 荷物を置こうとしている
完了 荷物を置いた
完了直後 荷物を置いたばかり
結果や状態が継続 荷物が置いてある
結果や状態の消滅 荷物が置いてあった

 1 逆接を表す文法「~たところで
 2 仮定表現の「ところ」
 3 「場面」や「瞬間」に言い換えられるのでアスペクトじゃない
 4 完了を表す「ところ」

 選択肢4だけ事象の完成度のうち完了を表すアスペクト表現です。
 したがって答えは4です。

問4 談話上の効果

 ①「生徒達は入学したばかりで緊張している。教室にはいると、(その生徒達が)私の方を一斉に見た」
 ②「教室に入ると、入学したばかりで緊張している生徒たちが、私の方を一斉に見た」

 この2つの文はどんな違いがあるんだろうという問題です。

選択肢1

 ①の文は視点が「生徒達」で、②は「私」。
 語りの視点を「生徒達」に固定しているのは①です。

選択肢2

 これが正しいです!
 ①の文は「生徒達は入学したばかりで緊張している」をまず新情報として説明してます。読み手はこの部分が重要なのかな?と思いやすくなるので、後件の「私の方を一斉に見た」のインパクトが少し薄れてます。
 でも②の文は「入学したばかりで緊張している生徒達が」がまるで旧情報みたいに扱われているので、「私の方を一斉に見た」のインパクトが増してます。

選択肢3

 そもそも②の文は視点が「私」なので①よりも主観的な文です。「教室に入ると」を取り出しているから客観的になるっていうのがもう訳分からん。
 それに、この文の従属節は連体修飾節「入学したばかりで緊張している」です。

選択肢4

 ①は「生徒達は入学したばかりで緊張している。」と「教室にはいると、(その生徒達が)私の方を一斉に見た」の2つの文から構成されてます。節の主従関係を断ち切り、どちらの出来事にも焦点を当てた言い方をしているのは①です。

 したがって答えは2です。

問5 名詞修飾表現のみで一文を構成する特殊な文体

 「ゴールを決めた中村選手」のような文は連体修飾節(名詞修飾節)と呼ばれるものです。

選択肢1

 例えばこういう写真なら「海にぽつんと浮かぶ孤島」みたいな連体修飾節を写真のどこかに書いて説明することが多いでしょう。「この孤島は海にぽつんを浮かんでいます」って書いたらなんか変。この選択肢は正しいです。

選択肢2

 これも正しそう。例えばですが、ドラマなどで新しい登場人物が出てきたとき、「若くして起業した天才」みたいなテロップを出して説明することってありますよね。そういうことを言ってます。

選択肢3

 報道番組の事件の発生を伝える場面、ニュースを読み上げるときは「です/ます体」を使います。この選択肢は間違いです。
 ちなみにニュース画面右上の簡単な紹介部分では「白昼起きた殺人事件」みたいに連体修飾節がよく使われる気がします。最初のテロップは「〇〇首相が所信表明演説」みたいに体言止めが多いと思う。

選択肢4

 ト書きとは、脚本や台本などにおいて俳優が声に出す台詞以外の部分のことです。台本とか読んだことないですけど、こんな感じが書かれているはず。

田中一郎:なんでそんなことするんだよ! (徐々に強まる声量で)

 この( )の中に書いてるのがト書きで、確かに連体修飾節で書かれることが多そうです。

 したがって答えは3です。

 




コメント

コメント一覧 (3件)

  • 丁寧な解説に感謝しています。

    問2
    選択肢4
     【キッチンから母が作るカレーの匂い】がする。
     「という」を挿入しないほうが自然

     したがって答えは3です。

    理由が理解出来ません💧
    4じゃないんでしょうか?(正答は3になっていますが)

  • >ヤマグチさん
    コメントありがとうございます! お答えいたします。
    問2選択肢4では、「音、味、におい」のような感覚を表す名詞が主名詞になる場合のことを述べていますので、「キッチンから母が作るカレーの匂いがする」という例文を挙げました。選択肢4では「という」を挿入したほうが自然になると書かれていますが、「キッチンから母が作るカレーという匂いがする」とすると明らかに不自然です。したがって選択肢4は間違いということになります。

    • 早々に丁寧なお返事ありがとうございます。
      そうですね!

      「した方が」「しない方が」の選択肢のミスリードに釣られてしまい、
      理解不能に至っていたようです。
      お手数おかけしてすみませんでした。

コメントする

目次