平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

問1 レジスター

 1 クレオール
 異なる言語を話す者同士が意思疎通するため、お互いの言語の要素を組み合わせて作られた接触言語(ピジン言語)が、その地域で長期間使用されることによって人々の母語として定着したもののことです。

 2 プロトコル
 課題遂行中の被験者に考えていることを言語化させる発話思考法において、被験者が言語化した内容を記録したものをプロトコルと言います。このデータは被験者の思考過程を分析するために使います。

 3 言語使用域/レジスター
 場面や状況、内容、人間関係、口頭か文書か等に応じて使い分けられる言語変種のことです。例えば、母親の前では「ママ」、学校などで母親について触れるときは「お母さん」、比較的改まった場では「母親」と呼んだりすることが挙げられます。つまり、同じ役割を持つ語を状況によって使い分け、それぞれの語がそれぞれの使用域を持っていると考えます。

 4 シソーラス
 類義語、対義語、上位語、下位語などの意味的な関係によって分類して記述された辞書のことです。

 答えは3です。

問2 日本語の人称代名詞

選択肢1

 例えば、指示対象が特定できない犯人などの場合は、性別がそもそも分からないので「彼」「彼女」のような三人称代名詞で指し示すことはできません。「犯人」とか「その人」と呼んだりします。この選択肢が答え。

選択肢2

 「私は知っているが、君は知らない」のように、一人称代名詞「私」や二人称代名詞「君」は対比する場合に用いることができます。この選択肢は間違い。

選択肢3

 偉人や著名人は通常敬称が省略されます。知り合いでもない限り「夏目漱石さん」なんて言わないです。この選択肢は間違い。

選択肢4

 目上の人に「あなた」は失礼です。通常は役職名や名前にさん付けなどして呼ばれます。

 答えは1です。

問3 敬意低減の法則/敬意逓減の法則

 敬意低減の法則とは、かつてその語が持っていた他者に対する敬意が時間の経過、時代の変化とともに薄らいでいくこと、またはその法則のことです。
 「貴様」や「お前」は元々相手を敬う語だったのが、今では軽蔑の対象に用いられるようになりました。

 答えは3です。

問4 「あなた」について

 1 正しいです。目上に「あなた」は失礼なので、直接「部長」などの役職名で呼ぶことで「あなた」の使用を回避できます。
 2 正しいです。妻が夫に親しみをこめて「あなた」という場合もあります。
 3 アンケート用紙には一般に「あなた」が用いられます。
 4 正しいです。「明日いらっしゃいますか」のように尊敬語を用いると「あなた」の使用を回避できます。

 答えは3です。

問5 各国語の人称詞について

 状況や場面によらず、話題の人物が自分より目上の場合は敬語を使うという敬語の使い方を絶対敬語と言います。韓国語は絶対敬語で、両親であっても敬語を使います。
 したがって答えは2です。

 日本語は相対敬語、韓国語は絶対敬語。
 これはまあまあ出題されますのでそのまま覚えておくと点数に結びつくかもしれません。
 




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