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平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3C解説

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平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3C解説

(9)モダリティ表現

選択肢の中に形式名詞が含まれているものを探せという問題ですが、形式名詞も名詞の一種なので、名詞が含まれているかどうかを確認しましょう。日本語の名詞は、「の」を介在して名詞を修飾するという一つの特徴があるので、これを用いて各選択肢に含まれる名詞と思われるものを検証します。

 1 「らしい」は「らしくない」みたいにイ形の活用をするから品詞は名詞じゃなくイ形容詞。
 2 「べき」は「~べきの+名詞」という形がないです。「の」が介在しなくても「やるべき課題」のように名詞を修飾できます。だから名詞じゃない。
 3 「~だろう」は当たり前だけど「~だろうの+名詞」と言えないから名詞じゃない。
 4 「つもり」は「覚えたつもりの台詞」みたいに「つもり+の+名詞」の形を取れるから「つもり」は名詞。

 答えは4です。

(10)補足節

 補足節とは、主題、補語と同じ機能を果たす従属節のことです。代表的な補足節は形式名詞「こと」「ところ」「の」などで名詞化されている節を指すので、これらが標識になります。

選択肢1

 「~を友達に聞いた」という主節があって、このヲ格名詞の位置に「彼女が結婚する」という文を入れ込んでる構造です。しかしヲ格名詞は名詞でなければいけないので、「彼女が結婚する」を名詞句にするために「こと」をつけて「彼女が結婚すること」としています。この「こと」は補足節で現れる形式名詞です。これが答え。

選択肢2

 従属節「主節が来ないことには」は主節「パーティが始まらない」の事態成立の条件なので、この従属節は補足節ではなく条件節。ちなみにこの「こと」も形式名詞です。
 この選択肢は間違い。

選択肢3

 この文は主題化された時間節「欠席するときは」と主節「必ず事前に連絡すること」からなります。補足節は含まれていないし、「こと」が含まれているのは主節です。ちなみにこの「こと」も形式名詞です。

選択肢4

 この文は「その年で社長とは」というのが補足節の一種である引用節で、主節は「うらやましいことだ」です。補足節はありますが、肝心の「こと」は主節に含まれるのでこの選択肢は間違い。この「こと」も形式名詞です。

 答えは1です。

(11)従属節

 とりあえず入学はしたものの、何を勉強すればよいか分からない。

 「とりあえず入学はしたものの」が従属節(条件節)で、「何を勉強すればよいか分からない」が主節。
 この文の中で形式名詞を探してみると「もの」があって、それが含まれているのは従属節。
 だから答えは3です。

(12)文法化

 文法化とは、内容語の実質的な意味が失われ、機能語に変化することです。日本語の文法化の一例として、視覚情報を(目で)捉えることを「見る」と言いますが、これが文法化してその意味を失い「やってみる」などの抽象的な意味を持つようになったのが挙げられます。

 1 「いう」は、元々の「言う」の意味を失っています。
 2 「して」は、元々の「する」の意味を失っています。
 3 「したがって」は、元々の「従う」の意味を持っています。
 4 「もって」は、元々の「もつ」の意味を失っています。

 選択肢3だけ文法化してなく、元々の語の意味を保持しています。
 答えは3です。




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