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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

問1 シンボル

 1 シンプトム
 何らかの現象が起き始めている兆候のこと。

 2 サインランゲージ
 音声言語の代わりに指・腕などの身ぶりを用いることで、特に手話を指す。

 3 シンボル
 チャールズ・サンダース・パースの記号論では、記号表現と指示物とがコード(言語)で関連付けられたものをシンボル(象徴)と呼びます。シンボルは具体的なものを指すのではなく、抽象的なものを指し示します。
 例えば朝の挨拶は、日本語のコードで表すと「おはようございます」、英語のコードで表すと「good morning」です。抽象的なものとコードがお互いに関連付けられて使用されています。

 4 シニフィエ(所記)
 フェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure)によって提唱された概念。言語記号をなす2つの側面のうち、あるものの概念や意味内容のこと。

 「会話では、~~~としての言語による伝達だけでなく、非言語による伝達も行われる。」
 非言語情報とは対になるもの、つまり言語情報を指す言葉を選べばいいということが分かります。最も適当なのはシンボルです。
 したがって答えは3です。

問2 パラ言語

    イ   の構成概念として文章中には「やりとりの反応時間」「沈黙」「声の質」「テンポ」などが挙げられています。これらは言語的内容そのものではなく、言語的内容の話し方にかかわるものです。こうしたものをまとめてパラ言語と言います。

 1 これが答え
 2 ???
 3 フィラーは言いよどみのこと
 4 談話標識は談話の流れを決める言語形式のこと。例えば「しかし」がくれば逆接など。

 答えは1です。

問3 身体動作の機能

 ここでは身体動作の話をしています。身体動作、いわゆるジェスチャー非言語コミュニケーションの一種で、エックマンとフリーセン(Ekman & Friesen)によってエンブレム(emblem)、例示的動作(illustrator)、調整的動作(regulator)、情動表出(affected display)、適応的動作(adaptor)の5種類に分類されています。

 問題文にある身体動作、「こんなに大きな魚」と言いながら両手を左右に広げる動作は例示的動作イラストレーター)に分類されます。簡単にいうと、大きさとか長さとかを示す身体動作。

 1 ???
 2 例示的動作
 3 ???
 4 ???

 答えは2です。

問4 ある文化圏の人々にのみ理解される身体動作

 下線部Aの身体動作はエックマンとフリーセン(Ekman & Friesen)の分類におけるエンブレムにあたります。ことばがなくてもその動作をすればことばと同じ意味を表せる動作です。例えば試合中に遠くのチームメイトとハンドサインでコミュニケーションをとったりするのが挙げられます。というわけで、各選択肢からこのエンブレムを探しましょう。

選択肢1

 無意識に手足を動かす。これは無意識ですからこれは適応的動作です。適応的動作は生理的欲求を満たすために普通無意識に行われます。例えば痒い所を掻くとかです。ちなみにこの記述がタイにホントにあるかは分かりません。

選択肢2

 タイでは頭は精霊の宿る大切な場所と信じられているので、頭を撫でるのはよくないとされているようです。
 ちなみにこれはなんの身体動作か不明。

選択肢3

 「相手に笑いかける」という身体動作は喜怒哀楽などの感情を表現しているので情動表出です。

選択肢4

 このサインは間違いなくお金を表します。少なくとも日本ではこのサインを見たらほとんどの人がお金だと理解するでしょう。これはエンブレムで、その動作がことばに代わるほど明確な意味を持っています。

 答えは4です。

問5 高コンテクスト文化と低コンテクスト文化

 「考えをはっきりと言葉に出して表現することがよいとされている」のは低コンテクスト文化です。低コンテクスト文化は言葉で表す意味が重視されやすいので、沈黙は不快となります。
 高コンテクスト文化は言葉にはっきり言わなくても相手が察することを要求するので、沈黙自体が意味を持つこともあり、不快と感じることも少ないです。

 よって答えは4です。

 




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