アクセント(accent)
アクセント(accent)とは、ある言語において個々の語ごとに決まっているプロソディの一種で、音の相対的な強弱や高低の位置のことです。英語、ロシア語、ドイツ語などは語の中で相対的に強く発音される部分(強勢)とそうではない部分があり、強く発音される部分の位置によって意味や品詞が変わるものがあります。例えば英語では、rejéct(拒絶する)とréject(拒絶)のように強勢の位置を変えることで品詞と意味を区別する現象が見られます。こうした音の相対的な強弱で定められたアクセントを強勢アクセント(ストレスアクセント)と言います。
(1) rejéct /rɪdʒékt/
(2) réject /ríːdʒekt/
一方、日本語は語の中で相対的に高く発音される部分と低く発音される部分があり、高く発音されえる部分の位置によって意味や品詞が変わるものがあります。例えば、「あめ」の「あ」を高く、「め」を低く発音すると「雨」に、「あ」を低く、「め」を高く発音すると「飴」になります。「さくら」の「さ」を低く、「くら」を高く発音すると花の「桜」を表し、「さ」を高く「くら」を低く発音すると人名の「さくら」などを表します。このように音の相対的な高低で定められたアクセントを高低アクセント(ピッチアクセント)と言います。
(3) あめ (雨)
(4) あめ (飴)
(5) さくら (花の)
(6) さくら (人名)
その語が相対的に強いか弱いか、高いか低いかは社会的に決まっていることであって、個人の自由意志に基づいて変えることはできません。
参考文献
窪薗晴夫(1999)『日本語の音声』岩波書店
森山卓郎,渋谷勝己(2020)『明解日本語学辞典』2-4頁.三省堂
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