令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3C解説
(11)否定疑問文
「ない」「ません」の否定形に「か」をつけたのが否定疑問文です。
1 否定「ません」+疑問「か」があるので否定疑問文
2 肯定「もらえます」+疑問「か」だから肯定疑問文
3 肯定「つまらない」+疑問「(か)?」は肯定疑問文
4 肯定「無理」+疑問「(か)?」は肯定疑問文
「つまらない」は「ない」がありますが、この「ない」は否定ではありません。「つまらない」の否定形は「つまらなくない」だから。だから「つまらない」は肯定形です。「無理」もマイナスの意味があるから否定に見えるかもしれないけど、否定形は「無理でない」です。
これに騙されないように!
だから答えは1です。
(12)真偽疑問文
真偽疑問文はYesかNoか、真か偽かを問う疑問文です。例えば「あなたは男性ですか?」に対しては「はい」か「いいえ」の応答が考えられ、それは真偽を聞いているだけです。
選択肢1
「美しいですか?」に対しては「美しいです」あるいは「美しくないです」がいいと思う。
「美しいですか?」に対して「はい、そうです」「いいえ、そうではありません」はちょっとキツいかな。
選択肢2
「無理ですか?」に対して「はい、そうです」「いいえ、そうではありません」はちょっときつい。
選択肢3
「学生ですか?」に対して「はい、そうです」「いいえ、そうではありません」は良さそう!
選択肢4
「食べましたか?」に対して「はい、そうです」「いいえ、そうではありません」はおかしい。
答えは3です。
(13)数ある選択肢の中から不特定のものを指示する疑問詞
答えは「どれ」です。
たくさんある中から該当するものを指示するとき、例えば「李さんの荷物はどれですか?」みたいな。たくさん荷物がある中から不特定である李さんの荷物を指すときにはやっぱり「どれ」がいいです。
したがって答えは4です。
(14)疑問文の作り方
選択肢1
「うつくしい⤴」と言えば確かに疑問文になります。「うつくしいです⤴」でも良い。
上昇調イントネーションは疑問の「か」と同じ意味があります。
この選択肢は正しいです。
選択肢2
「無理⤴」と言えば疑問文になります。
この選択肢は正しいです。
選択肢3
動詞のアクセントを変えるってヤバくない? 適当なこと言ってます。アクセントって変わるものじゃないです。社会的に決まっているものだから、個人の意思によってアクセントを変えたりすることはできません。
ちなみに上昇調のイントネーションを付加したとしても、アクセントは変わりません。例えば「食べない」のアクセントは「低高低低」ですが、この最後の「低」の後に上昇調のイントネーションが加わることで疑問の意味になります。最後の「低」が「高」になって疑問になってるわけじゃありません。アクセントは変わらないもの。イントネーションはアクセントに乗っかって機能するもの。
この選択肢が不適当。
選択肢4
述語に来る品詞は名詞、動詞、イ形容詞、ナ形容詞の4つです。このうち「です」がつくのは名詞、イ形容詞、ナ形容詞だけ。「食べるです」みたいな言い方がないので動詞はありえません。「学生です」「美しいです」「無理です」の後ろに「か」をつけたら、「学生ですか」「美しいですか」「無理ですか」と疑問文になりました! この記述は正しいです。
答えは3です。
(15)確認要求
確認要求とは、話し手が何らかの事態や状態が成立しているという前提に立って、聞き手に判断を問い、その確認を求めることです。その代表的な形式は「だろう」と「ではないか」。終助詞の「ね」「よね」も確認要求になることもあります。
怖いでしょう?
例えばこれ。話し手は聞き手が「怖い」と思っているのが前提で怖いかどうかを問いかけ、怖いかどうかの確認を聞き手に求めています。なんかちょっとうまく書けないけどこんな感じ。
1 田中さんであることが前提になってない。ただ田中さんかどうか聞いてるだけ。
2 寒いことを前提として、その確認を求めている(確認要求)
3 元気であることが前提になっていない。ただ元気かどうか聞いてるだけ。
4 忙しいことが前提になってない。ただ忙しいかどうかを聞いてるだけ。
したがって答えは2です。
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