6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

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令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

問1 情意フィルター仮説

 情意フィルター仮説はクラッシェン(S.D.Krashen)によって提唱された、こうすれば第二言語習得は促進されるよっていうモニターモデルという仮説を構成する5つの仮説の一つです。

習得・学習仮説 言語を身につける過程には、幼児が母語を無意識に身につけるような「習得」と、学校等で意識的に学んだ結果の「学習」があるとし、学習によって得られた知識は習得に繋がらないとする仮説。
自然習得順序仮説 目標言語の文法規則はある一定の決まった順序で習得されるとする仮説。その自然な順序は教える順序とは関係ないとされています。
モニター仮説 「学習」した知識は、発話をする際にチェック・修正するモニターとして働くとされる仮説。学習者が言語の規則に焦点を当てているときにモニターは起きるとされています。
インプット仮説 言語習得は理解可能なインプット「i+1」を通して進むとする仮説。ここでいう「i」とは学習者の現時点での言語能力のことで、「+1」がその現在のレベルから少し高いレベルのことを指しています。未習のものであっても、文脈から推測できたりする範囲のインプットを与えると、言語構造が自然に習得されると考えます。
情意フィルター仮説 学習者の言語に対する自信、不安、態度などの情意面での要因がフィルターを作り、接触するインプットの量と吸収するインプットの量を左右するという仮説。

 1 情意フィルター仮説
 2 インプット仮説
 3 ロングのインタラクション仮説の記述(意味交渉:Negotiation of meaning)
 4 ???

 答えは1です。

問2 第二言語不安

 第二言語不安とは、第二言語の学習や使用、習得に特定的に関わる不安や心配と、それによって引き起こされる緊張や焦りのこと。第二言語不安は、第二言語を勉強した人なら大体みんなあったはず。自分の言った言葉は正しい表現なのか、正しい発音なのか、ちゃんと相手に伝わるのかなどいろんな心配をして、第二言語を使うことに不安を感じることです。不安が高まると外国語と触れる機会を減らします。不安がないほうが習得に有利です。

 1 先生の評価が下がると成績も下がっちゃうから、先生にはうまく話さないとって思っちゃうと不安に繋がりそうですね。
 2 個人の特性によるものは第二言語不安の構成要素ではありません。
 3 あの人は発音が下手だとか思われることに対する不安などで第二言語を使うことが不安になる可能性はあります。
 4 本当に言いたいことが伝わるのか、話が聞き取れるのかなどの対する不安で第二言語を使うことが不安になる可能性はあります。

 したがって答えは2です。

問3 コミュニティ・ランゲージ・ラーニング

 CLLとも呼ばれる教授法の一つです。
 開発者のカランがカウンセリング理論を応用して開発しました。カウンセラーとクライアントの関係を授業に持ち込み、クライアントとなる学習者に対して、不安やストレスをできるだけ取り除こうとします。

 まずは学習者を丸く座らせて、あるテーマについてみんなで話をさせます。何か分からない言葉などあったら、教師は媒介語を使って言葉を教えます。学習言語ばかり使わせると不安を感じるかもしれませんから、教師は媒介語OKという立場を取って不安を軽減させるために思いっきり助けます。

 1 「音楽や絵画」でサジェストペディアだと分かります。
 2 「特別な教具」でサイレント・ウェイだと分かります。
 3 これがコミュニティ・ランゲージ・ラーニングの記述。
 4 ???

 答えは3です。

問4 ジャーナル・アプローチ

 ジャーナル・アプローチ(journal approach)とは、学習者の学習や異文化について思っていることや問題点を自由に書くことで、本人にその原因などを気付かせる異文化理解、カウンセリング手法です。学習者が書いたものをジャーナルと呼び、それらを教師や援助者と共有することでフィードバックを与え、お互いの相互理解を深めることに用います。

 1 学習項目で日記を書かせるのは制限作文アプローチ的なやつ
 2 授業の感想を書かせるのは全く別物
 3 日記を書くところまではいいですけどそれを授業で取り扱うわけではありません。
 4 これがジャーナル・アプローチ

 答えは4です。

問5 不安を軽減する

 第二言語不安を軽減させるにはどうすれば?

選択肢1

 既習項目を扱うってのが良い。未習項目が入っていると分からない可能性があるので不安にさせるかも。

選択肢2

 達成できそうだったら頑張れるし、達成感を与えられれば不安を軽減できるかも。

選択肢3

 競争を煽るのは良くない。競争で負けた人は苦手意識ができたりして不安が増すかもしれません。
 不安の軽減には逆効果です。

選択肢4

 目標がはっきりわかって、どうやればいいかも教えてあげれば不安も軽減できますね。

 したがって答えは3です。

 




コメント

コメント一覧 (1件)

  • 問4の正式解答は、4でした。異文化受容について、問題文にないはずなんで、3じゃないと思います。

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