令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(11)解説
(11)「てくる」の用法
「てくる」は私調べなんですけど、次の7つの用法があります! (もっとあったらご指摘ください)
●移動時の状態 … 家まで走ってくる。
●順次的動作 … 予約をしてきますので、ここで待っていてください。
●動作の継続 … ずっと努力してきたのに、なかなか結果が出ない。
●少しずつ近づく … 二人の距離は近づいてきた。
●状態変化の開始 … 高齢者人口はどんどん増えてきている。
●出現 … 太陽が地平線から昇ってきた。
●こちらへの一方的な動作 … 知らない人が話しかけてきた。
そこで選択肢を見てみると…
1 少しずつ近づく
2 少しずつ近づく
3 少しずつ近づく
4 少しずつ近づく
5 状態変化の開始
選択肢5だけ意味が違います。「てくる」の用法を詳しく知らなくても、問題を見つめていると5だけ違うのが分かると思います。選択肢1~4は何か物が移動してくるけど、5だけは物じゃなくて気温だし。
だから答えは5です。
参考:【N4文法】~てくる
コメント
コメント一覧 (5件)
高橋先生
いつも大変わかり易くご解説いただきまして、ありがとうごうざいます。
この問題の考え方につきまして、1、3、4、5は動詞+補助動詞の形式で、出題の題意である
「てくる」の用法。2だけは動詞「遣って来る」と考えることはできないのでしょうか。そう考えますと、
2だけは動詞そのものですから「てくる」の用法から外れることになると思うのです。
動詞「遣る」は「手前から遠くに向かって行かせる、進める」の意味ですから、補助動詞「来る」を
接続した「てくる」の用法だと考えるには、少し無理があるのでは無いかと思うのです。この考え方は
間違っているでしょうか。
試験当日、そのように考えて2を選択し、間違えてしまいました・・・。
よろしくお願い致します。
>Steveさん
コメントありがとうございます。
「やる(遣る)」は場所を移動させることを表す動詞です。おつかいにやる、使者をやる等々… そこに移動の方向を限定する補助動詞「てくる」がつくことによって、他方からこちらへ移動することを表すようになっています。
「やってくる」は「やる」と「くる」がテ形によって繋がれていますから、本動詞「やる」と補助動詞「てくる」に分解可能です。
それからここでの問題は「てくる」の用法ですので、「てくる」の意味に着目するといいと思います。
高橋先生
そうですか、動詞と補助動詞に分解可能なんですね。
私の語感や捉え方はどうも偏っているのではないか?と、自分自身で常々疑問を感じているのですが・・・。
ヘンなところに引っかかる悪い癖があり、一旦引っかかるとなかなか抜け出せません。
なんとかしたくて色々本を読んではいるのですが。
ありがとうございました。
私もこの問題は微妙だなと思いました。
1,2,3,4は 場所、5は時間 という区別で 5を選択しました。
いつもありがとうございます。私は単純に、1、2、3、4は人やモノの物理的な移動を伴うもので、5は温度の変化であって何かがAからBに移動するものではないと考え、5を選びました。