6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

プロミネンスとは?

プロミネンス(prominence)

 プロミネンス(prominence)とは、話し言葉において発話の一部分を強調し際立たせることです。卓立とも言います。際立たせる手段として、声の強弱、高低、長短を調整する、ポーズを入れるなどがあります。そうして強調された部分は「プロミネンスがある」「プロミネンスを置く」というふうに言います。

 (1) 肩じゃなくて、顔を殴られたんです。
 (2) 私は「たかはし」じゃなくて「たーかーなーしー」です。
 (3) 絶対誰にも言わないでね。実は、お腹に子どもがいるの

 プロミネンスを太字や文字の大きさ、濃さで表現しました。(1)は「顔を」にプロミネンスを置いて際立たせています。助詞「を」だけにプロミネンスを置く場合もあります。(2)は声を長くして「たかなし」を際立たせている例です。このようにプロミネンスは声を通常よりも強く、高く、長くするプラスの方向で実現されることが一般的ですが、マイナスの方向、すなわち声を通常よりも弱く、低く、短くすることによっても実現可能です。それが(3)です。「お腹に子どもがいるの」の部分を弱く、低く、ささやき声などで言うことでも際立たせることができます。

参考文献

 斎藤純男(2019)『日本語音声学入門 改訂版』145-148頁.三省堂
 城生佰太郎(2008)『一般音声学講義』147-151頁.勉誠出版




コメント

コメントする