6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

【練習問題】(689)有生性

【練習問題】(689)有生性

語の有生性(animacy)に関する誤用の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
 
 1 私には特技があらないです。(「私には特技がないです」の意で)
 2 郵便局と喫茶店の間に銀行がいます。(「郵便局と喫茶店の間に銀行があります」の意で)
 3 机の上にりんごがあっています。(「机の上にリンゴがあります」の意で)
 4 彼は弟も妹もいらないです。(「彼は弟も妹もいないです」の意で)











解説

 有生性(アニマシー)は文法カテゴリーの一種で名詞が持つ生物らしさのことです。名詞の有生性は文法に影響します。例えば日本語の存在動詞は、存在主体の有生性が高い場合は「いる」を使い、低い場合は「ある」を使います。

選択肢1

 「ある」の否定形は「ない」ですが、五段動詞の活用をして「あらない」としています。
 これは活用の誤りであり、有生性とは関係ありません。

選択肢2

 「銀行」は有生性が低いので「ある」を使うのが普通ですが、この誤用では「いる」を使っています。
 有生性に関する誤用です。これが答え。

選択肢3

 動作を表す動詞はテイル形にすると進行中を表したり、結果の状態を表したりします。
 (1) ご飯を食べている (継続動詞のテイル形は進行中)
 (2) 電気がついている (瞬間動詞のテイル形は結果の状態)

 しかし、「ある」は動きを表さない状態動詞なので動作局面(アスペクト)は存在せず、「あっている」というテイル形も存在しません。この学習者はそのあたりの知識が不足しているようで、有生性とは関係ない誤用です。

選択肢4

 一段動詞「いる」を五段動詞とみなして、ナイ形「いらない」を産出しています。動詞のグループに混乱が見られます。
 有生性とは関係ありません。

 したがって答えは2です。




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