【練習問題】(44)対義語
「対義語」に関する記述として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 語の意味に依存せず、コンテクストによって対義関係が生じることがある。
2 「医者/患者」のようなタイプの対義語は程度副詞で修飾することができる。
3 対義関係にある語同士の品詞は一致する。
4 「着る/脱ぐ」と「入学/卒業」は同じタイプの対義語である。
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解説
選択肢1
「水よりコーラを飲みたい」
「水」の対義語は「コーラ」ではないですが、比較の「より」によって対義関係が浮かんできています。語同士に対義関係はなくとも、コンテクストによって対義構造が生じることがあります。この選択肢は正しいです。
選択肢2
「とても」「非常に」などが程度副詞です。形容詞などの状態性の語を修飾して、その程度を限定する働きがあります。
「医者」と「患者」などの互いの相手を前提とした対義語は程度副詞で修飾できません。「とても医者」とか言えないので。
選択肢3
「長い」「短い」のように品詞が一致する対義語もありますが、動詞「ある」とイ形容詞「ない」のように一致しないものもあります。
選択肢4
「着る/脱ぐ」は繰り返すと元の状態に戻る変化の対義語に分類されます。「入学/卒業」は中間が存在するような事柄の両極に位置するものが対義語となっている両極的対義語です。
この選択肢は間違い。
よって答えは1です。
コメント
コメント一覧 (2件)
「入学/卒業」は中間が存在するような事柄の両極に位置するものが対義語となっている両極的対義語です。
赤本では、中間団体を持たない対義語関係 とあり、中間が存在すると反対です。
間違いでしょうか?
連続的対義語が、中間段階を持つ。
>加茂さん
ご指摘ありがとうございます。
こちらの問題は以下の文献を参考にして作っています。
●村木新次郎(2002)「意味の体系」『朝倉日本語講座4 語彙・意味(新装版)』55-78,朝倉書店
これによると(66ページ)、「入学/卒業」は両極的対義語(両極性にもとづく対義語)に分類されています。ですので、この問題は問題不成立ではないと考えています。
この対義語の分類は形による分類ではなく、意味によって分類したものなので、その境界線は人によって異なるのはしょうがないことだと思います。なので赤本では違う分類になっているんだと思われます。