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【敬語練習問題】(67)謙譲語Ⅰの形にするのがなじまない動詞

【敬語練習問題】(67)謙譲語Ⅰの形にするのがなじまない動詞

謙譲語Ⅰの形にするのがなじまない動詞の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
 
 1 貸す
 2 驚く
 3 撮る
 4 呼ぶ











解説

 謙譲語Ⅰは自分から相手に向かう行為、ものについて、行為が向かう先の人物、ものが向かう先の人物を立てるものです。謙譲語Ⅰの形として代表的なものに次のがあります。

 <お(ご)……する>
 <……ていただく>

 試しにこれらに接続できるかどうか試してみます。

 1 〇お貸しする、〇貸していただく
 2 ✕お驚きする、✕驚いていただく
 3 〇お撮りする、〇撮っていただく
 4 〇お呼びする、〇呼んでいただく

 こうしてみると分かるように選択肢2「驚く」は謙譲語Ⅰにするのがなじみません。
 こうやって試してみてもいいですが、論理的に解く方法もあります。

 謙譲語Ⅰは自分から相手に向かう行為に使えるということは…
 「貸す」は自分から相手に物を移動させる行為だし、「撮る」「呼ぶ」も自分が相手のために撮ってあげられる行為です。だから「(私がAに)お貸しする」「(私がAのために写真を)お撮りする」「(私がAを)お呼びする」のような言い方ができます。しかし「驚く」は自分の中だけで成立する感情の動きで、相手に向かう行為ではないどころか、相手すら必要としません。したがって「お驚きする」などと言うことができないのです。

 ちなみに、「殴る」のように自分から相手に向かう行為であっても、それが悪い意味を持つときは「お殴りする」のように謙譲語Ⅰにはしにくいです。「届く」のような相手から自分に向かう逆方向の行為も「お届きする」のように謙譲語Ⅰにはできません。

 よって答えは2です。




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