平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説
問1 話し手の性別による言語変種
話し手の性別による言語変種は、以前は 終助詞 に比較的顕著に表れる傾向がありました。例えば「~よ」「~ね」「~よね」などは以前女性を中心に使われていましたが、現代では男性も使うようになって中性的な表現に変化し、性差のある表現は減ってきています。
1 「しかし」「なぜなら」に性差は感じられません
2 「それ」「あれ」などの指示代名詞にも性差は感じられません
3 「だけ」「ばかり」などの取り立て助詞にも性差は感じられません
4 これが答え。
答えは4です。
問2 性差を固定する表現
英語の nurse は以前までナースや看護婦と訳されて使われてきましたが、この言葉は特に女性を指す表現ですので、ポリティカル・コレクトネスの観点から中性的な表現に調整され「看護師」と言われるようになりました。この過程で性差を固定する表現が見直されています。
答えは1です。
問3 男女雇用機会均等法
性差をなくしていくことに関連する法律は男女雇用機会均等法。
答えは2です。
問4 ポリティカル・コレクトネス
問2でも触れてますが、ポリティカル・コレクトネスとは、性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・社会的に公正・中立な言葉や表現を使用することです。
「後進国」にはやや蔑む意味が含まれるため、ポリティカル・コレクトネスの観点から、今では「開発途上国」や「発展途上国」と言われるようになりました。
答えは2です。
問5 男女の役割を固定しない表現
選択肢1
日本では「女性は料理をするもの(男性は料理しないもの)」のような考え方が古くからあります。これが性差を減らす目的から見直され、例文に「彼」と使うことで男性も料理をする存在として扱い、文章上で性差を無くそうとしています。
選択肢2
「女性は特に言葉遣いに注意すべき」という考え方もまた古くからあります。男性よりも丁寧さ、上品さを求めていた文化の名残。そのように指導するのは性差を助長する可能性があるので、性別による役割を固定化しないようにする指導として不適当です。これが答え。
選択肢3
「画家や弁護士は男性が多い」という思い込みもまた見直そうとしているみたい。そこでそういった職業の絵に女性を用いたりするようです。
選択肢4
性差によるバリエーションを提示することは性差を改善する観点から望ましいことです。
答えは2です。
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