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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3D解説

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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3D解説

(16)「単文」と「複文」の違い

 単文は述語を一つ持つ文で、複文は述語を複数持つ文のことです。

 単文:りんごが落ちてきた。
 複文:[鳥がつついた]りんごが落ちてきた。

 1 主節-従属節は複文の概念なので単文に主節はありません。
 2 これが答え
 3 単文に主節はないし、複文に主節は一つしかありません。
 4 単文と複文を分けるのは主語の数ではなく、述語の数。

 答えは2です。

(17)原因・理由の従属節

 従属節が主節の事態実現の原因・理由になっているものを探します。

 1 主節「会議が長引いてしまった」の原因・理由が従属節「役員が遅刻したせいで」なのでこれが答え
 2 従属節「電車に間に合うように」は主節「急いで走っていった」の目的を表しているので、これは目的節
 3 「薬を飲んだのに」は「熱が下がらなかった」の逆接条件なので、原因・理由ではありません。
 4 主節「大きくなっていると感じる」のは「めいっこに会うたびに」実現するので、この従属節は時間節

 答えは1です。

(18)譲歩

 (1) 薬を飲んでも治らないだろう。 <譲歩>

 前件の事態が仮定的かつ逆接的な条件節は(1)のような文を指します。この種の文は<譲歩>と呼ばれています。(実は日本語学ではあんまり聞かない気がするんだけど… 「譲歩」ということばは、私の印象は英語学から来てると思う)

 1 並列は「聞いたことがあるような、ないような」みたいなもの
 2 比況は比喩。「わたあめのような雲」とか
 3 これが答え
 4 否定は「~ない」

 答えは3です。

(19)反事実条件

 反事実条件とは、仮定条件の一種で、前件の事態がもし起こっていればどうなっていたか、あるいは起こらなかったらどうなっていたかを表す、事実に反する事態を仮定した条件のことです。例えばこんな文。

 (1) 薬を飲んでいれば、治ったはずだ。     <反事実条件>
 (2) 手伝ってくれなかったら、終わらなかった。 <反事実条件>

 例えば(1)では、事実は「薬を飲まなかった」んですが、「薬を飲んでいれば」という事実に反した仮定をして、その条件が満たされていれば「治ったはずだ」と述べています。この種の条件文はまだ実現していないことを仮定するので仮定条件の一種ですが、反事実条件を実現するためには過去にタイムスリップしないといけないのでその実現は不可能です。だから事実に反した条件と呼ばれます。

選択肢1

 「学生なら学割がきくのに」のように、反事実条件で「なら」を使うことは普通です。稀ではありません。

選択肢2

 「と」を使った反事実条件文は… ちょっと思いつきません。
 でも選択肢では「まれ」と書いているのでもしかしたらあるのかもしれませんが。

選択肢3

 「許されるなら目の前で土下座したいところだ」のように、後件に「ところだ」を使うことはできます。

選択肢4

 「雨が降らなければ出かけていたのに。」のように、後件に「のに」を使うことはできます。

 答えは2です。

(20)「複文」を構成する接続助詞を終助詞的に使う用法

 接続助詞の後には本来何らかの文が続くと考えられるので、各選択肢の後件の内容を考えてみます。

 1 これ、道に落ちていたんですが<落としましたか?>
 2 今日中に終わらなかったら、許さないから、<早くやりなさい>
 3 だから、やめときなよ。危ないって<言ってるでしょ>
 4 私はこれで。明日、会社もあることだし、<お先に失礼します>

 選択肢3の「って」は、「と」に置き換えられます。この場合の「と」は発言などの引用を表す格助詞です。接続助詞ではありません。
 ちなみに、選択肢1、2、4のように接続助詞で終わる文のことを言いさし文といいます。

 答えは3です。




コメント

コメント一覧 (5件)

  • 19 ですが、おかしいと思います。
    問いは 反事実条件の説明として最も適当なものを選べ、です。
    解答の2は使えないのだから、不適当な解答です。
    同じく 3,4も使うことができるのだから 不適当です。 
    よって 1が正解ですが、これも表現がおかしい・
    間違った問題と思える。

    • >八木さん
      コメントありがとうございます!
      問題を再度確認しましたが、問われている問題と解説が一致していませんでした。大変申し訳ございませんでした。
      ただ、見れば見るほど問題が変に見えてきますね…
      2が正解だとされていますが、反事実条件で「と」が使えるケースはないはずです。「動くと撃たれていた(?)」とかそんな言い方はないですよね。

      解説の内容を修正しておきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

  • 問題(18)の例文 「もし君が行くなら、私は行かない。」も「仮定」ではないでしょうか。
    「なら」はすべて、仮定になると思います。この場合「ても」が譲歩の例として、ふさわしいと思います。
    「もし君が行っても、私は行かない」「君が行かなくても、私は行く」・・・

  • (19)の選択肢2の例文を作ってみました。
    「彼が手伝ってくれないと、このプロジェクトは成功しなかった」
    実際は彼は手伝ってくれた。どうでしょうか・・・。

    • >町川さん
      この解説の(18)についてはいったん保留させてください。条件文や譲歩文の研究について調べてから解説を更新したいと思います。
      (19)の例文をお借りして、解説に使いたいと思います。
      ご指摘ありがとうございました!

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