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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説

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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説

問1 言葉の変化と性の関係

 1980年代頃から、「だよ」「だね」「じゃん」などといったユニセックスな言い回しが男女ともに好んで用いられるようになりました。このような男性語と女性語の違いが狭まっていく現象が共通語化です。
 男女共に共通語化の傾向はあるものの、女性のほうが比較的顕著で、特に終助詞に関する変化が分かりやすいです。

 明治時代に発生した女性語の「てよだわ言葉」は今では用いられなくなり、「だよ」「だね」「じゃん」などが用いられるようになっています。一方、男性語である「だろ」「だぞ」などは今でも用いられています。

 男性にもユニセックスな言い回しが用いられるようになっていますが、今でも男性語の使用が認められています。一方、女性は共通語化への傾向が強く、かつて女性語だった言葉の多くは一般的に用いられなくなっています

 
 1 上述したように女性語のほうが共通語化への傾向が強いです。
 2 正しいです。女性語のほうが共通語化への傾向が強いです。
 3 等しくありません。女性語のほうが共通語化への傾向が強いです。
 4 女性のほうが共通語化への傾向が強いです。

 したがって答えは2です。

問2 潜在的権威

 トラッドギルは、話し手がどのよな話し方を選ぶかということを言葉の権威で説明しています。そして言葉の権威には、「顕在的権威」と「潜在的権威」があると提唱しています。

顕在的権威 社会的地位が高く見られている標準的な言語形式(H変種)を無意識に好む傾向のこと。一般に、年齢が高くなるにつれ若者言葉やスラングなどの使用が減り、社会的地位が高く見られている言語変種を用いる傾向がある。
潜在的権威 社会的地位が低く見られている非標準的な言語形式(L変種)を無意識に好む傾向のこと。一般に、年齢が低いほど社会的地位が低く見られているスラングなどの言語変種を用いる傾向がある。

 大人は社会的地位が高く見られている標準的な言語形式(H変種)に顕在的権威を認める傾向があります。一方、それ以前の若者は社会的地位が低く見られている非標準的な言語形式(L変種)に潜在的権威を認める傾向があります。一般的には、年齢が上がるに従ってより標準的な言葉遣いへとシフトして行きます。

 私個人的な経験に基づくと、例えば子供の頃は汚い言葉をよく使っていましたが、大人になるにつれて使わなくなってきました。その理由はこの言葉の権威から説明できます。
 したがって答えは3です。

問3 位相論

 文章中にある「廓言葉などの歴史的な特定の社会集団の用語」とは、位相語のことです。
 位相語(社会方言)とは、性差、年齢、階層差、階級差、職業などの社会的な属性(位相)の違いによる言語体系のことで、その位相論は菊沢季生によって研究されました。

 したがって答えは1です。

問4 現代日本語の階層差

 問1でも述べられているように、男性語、女性語、老人語などの位相語は共通語化して行っていますので、現代日本語では階層差が希薄になっていると言えます。
 遊郭の遊女が用いた廓言葉なんかも職業語ですが、現代は職業によって強い特徴を持った言葉などはあまり見られなくなりました。

 したがって答えは2です。

問5 言語生活

独立行政法人国立国語研究所は,国語及び国民の言語生活に関する研究を行う機関として,また,外国人のための日本語教育の振興を図る機関として,期待に応えられるよう,新しい歩みを始めました。
 - 独立行政法人国立国語研究所の出発 | 国語研の窓 | ことば研究館より

 したがって答えは2です。

問6 集団語

 集団語とは、ある特定の集団の中で用いられる言葉のことです。

 1 正しいです。
 2 集団語を使用することで、集団意識・連帯機能を高めたりする効果があります。
 3 例えばお笑い芸人の集団語「噛む」などはずっと使われています。集団語はある概念をいちいち回りくどい言い方をしなくても伝わるように表現したもので、あまり変化するものでもありません。隠語志向に基づくものは隠語です。
 4 仲間内で通じる言い回しが多いから集団語と言います。

 したがって答えは3です。




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