曲用(declension)
曲用(declension)とは、語が文法的な要請によって語形変化する屈折のうち、名詞の屈折のことです。ここでいう文法的な要請とは、格・数・性などの文法カテゴリーのことです。例えば、ラテン語の名詞は格に対応して語形変化をします。以下は rosa(バラ)の曲用表(単数)です。
格 | 語幹 | 曲用語尾 | 語 | 意味 |
---|---|---|---|---|
主格・呼格 | ros | a | rosa | バラは |
属格 | ae | rosae | バラの | |
与格 | ae | rosae | バラに | |
対格 | am | rosam | バラを | |
奪格 | ā | rosā | バラによって |
主格と呼格を表す場合は ros-a、属格を表す場合は ros-ae というように格にしたがってその語形を変えます。
日本語においても、曲用の例があります。例えば「男たち」など。名詞「男」はその数(複数)にしたがって屈折接辞「たち」が付与され、曲用されています。
(1) 男 (otoko)
(2) 男たち (otoko-tati)
参考文献
斎藤純男,田口善久,西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』54,166,212頁.三省堂
ラテン語の第1変化名詞 – 山下太郎のラテン語入門
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