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平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

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平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

問1 隣接ペア

 「挨拶」に対しては「挨拶」を返すように、この種の発話はそれ一つで独立して現れるわけではなく、2つの発話が連なりカップリングになっています。このような発話のペアを会話分析では隣接ペアと言います。

 1 挿入連鎖
 2 隣接ペア
 3 TRP(話者が交替する可能性がある時点)
 4 FTA(相手のフェイスを脅かす行為)

 答えは2です。

問2 その場に合った合理的な解釈

 「洋子ちゃん、おはよう」に対して2秒の間があったとき、その2秒の間の解釈として各選択肢の内容が自然かどうかを見みましょう。

選択肢1

 洋子が最近卒論を頑張っていることを背景として知っていれば、挨拶が返ってこなくてもそれを理由にして解釈できます。この選択肢は自然。

選択肢2

 昨日喧嘩したという文脈においては、挨拶に挨拶で返さない可能性は十分にあります。だからこの選択肢は正しい。

選択肢3

 朝だろうが昼だろうが「おはよう」と挨拶されたら、「おはよう」かあるいは何か別の表現で返事をするはずです。お昼なのに「おはよう」というのはおかしい、という理由で挨拶を返さないのは不自然。この選択肢は不適当なのでこれが答え。

選択肢4

 車が通っている場所では、挨拶をしてもそれが周囲の騒音にかき消されて届かない可能性があるという予測が鳴り足ります。この解釈は自然。

 答えは3です。 

問3 受け入れ

 「依頼」に対する「受け入れ」は優先応答、「依頼」に対する「断り」は非優先応答。この応答の違いは発話に違いをもたらします。

選択肢1

 A:明日遊びにいかない?
 B:うーん、明日はちょっと用事があってね…

 断る際、つまり非優先応答ではその理由を述べることが多いです。でも受け入れる際は理由をあまり述べません。「いいよ」「行こう」と言えばいいだけなので。この選択肢は「断り」の説明だから間違い。

選択肢2

 A:明日遊びにいかない?
 B:いいよ

 正しいです。優先応答はそんな時間を空けずに行われます。

選択肢3

 A:明日遊びにいかない?
 B:うーん、明日はちょっと用事があって、ごめんね

 日本語における「依頼」に対する「断り」では、実質的な断りを表す部分「ごめんね」などは、ターンの後方に現れやすいです。実質的な受け入れを表す部分は、ターンの最初に来やすいです。この選択肢は間違い。

選択肢4

 A:明日遊びにいかない?
 B:あー、明日はアルバイトもないし、授業もないし… えー、でもレポートの提出期限だからちょっと無理かなあ。

 このように沈黙や言い淀みがよく現れるのは断りのときです。受け入れでも現れないことはないですが、断りよりもかなり少ないと思う。

 よって答えは2です。

問4 相反する二つの行為が反応として可能となる発話行為

 「依頼」に対しては2種類の応答があります。一つは「受け入れ」、もう一つは「断り」。このような2つの応答が可能である発話行為はどれですか?という問題です。考えうる応答を挙げていきます。

選択肢1

 「何時ですか?」に対する応答は発話時によって異なります。1時間おきに答えたとしても24択。この選択肢は間違い。

選択肢2

 呼びかける「すみません」に対しては「はい?」とか「どうしましたか?」などの反応一択。この選択肢は間違い。

選択肢3

 驚きの「あっ!」に対しては「どうしましたか?」などの反応一択。この選択肢は間違い。

選択肢4

 忠告に対しては、「受け入れる」か「受け入れない」かの2択。「分かりました」というか、「まだ帰りません」というか。

 答えは4です。

問5 自分が次に行う発話行為を予測させる機能

 「Aさん、ちょっとお願いがあるんですが」というと、そのあとにお願いが来るんだと予測させることができます。このように各選択肢の発話にその後の発話行為を予測させる機能があるかどうかを見ていきます。

 1 「知ってる?」の後に、何らかの新しい情報を言うのではないかと予測できます。
 2 「かわいいですね」の後に来るであろう発話は予測できません。
 3 「時間ありませんか?」の後に、何か用事があることが予測できます。
 4 「聞いてよ。」の後に、何らかの新しい情報を言うのではないかと予測できます。

 答えは2です。

 




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