平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説
問1 2012年5月1日現在の日本国内における留学生数
『平成24年度外国人留学生在籍状況調査結果|日本留学情報サイト Study in Japan』には平成24年度(2012年度)5月1日現在の留学生数が書かれています。
答えは1です。
問2 留学生30万人計画
『我が国の留学生制度の概要 受入れ及び派遣』(魚拓)を見れば答えが分かります。
選択肢1
我が国の文化の発信や日本語教育の拡大により,日本ファンを増やして我が国及び大学等への関心を呼び起こし,留学希望に結びつける。
3ページにはこのような記述があるので、この選択肢は正しいです。
選択肢2
大学等が各関係機関と連携し,短期留学を含め渡日後1年以内の留学生に宿舎を提供できるよう,大学の宿舎整備,民間宿舎確保の円滑化,公的宿舎の効率的活用等の多様な方策を推進。
4ページにはこのような記述があるので、この選択肢は正しいです。
選択肢3
そのような記述はありません。
選択肢4
日本留学試験の改善や,日本語能力試験,TOEFL,IELTSなどの既存の試験を活用した渡日前入学許可を推進。また,宿舎や奨学金採用など安心して留学するための受入れまでの手続きの渡日前の決定を促進。
3~4ページにかけてこのような記述があるので、この選択肢は正しいです。
答えは3です。
問3 メンタルヘルスの問題
選択肢1
小松・木村(2009: 206)は研究者の数だけ定義が存在すると前置きをしつつ、ストレッサーを『ある種の歪みを生じさせている対象・原因」と定義しています。ここでいう歪みとは、苦悩や抑圧、困難などを指すようです。これにしたがえば、飢餓や睡眠不足などの生物学的なものもある種の歪みを生じさせるのでストレッサーです。この選択肢は間違い。
選択肢2
藤本・東(2004: 135)によると、フラストレーションはその場の欲求短絡的な充足を求める要因となり、その欲求を満たすために人は攻撃的になると述べています。その例として運転中は早く目的地に着きたいというフラストレーションによって運転が荒くなることを挙げています。つまりフラストレーションに対する反応は忘却ではなく攻撃のようです。この選択肢は間違い。
選択肢3
コンフリクトは個人と個人の間に生じるものもありますし、集団と集団の間に生じるものもあります。これが答え。
選択肢4
不適応には身体的なものも含まれます。例えば異文化での不適応で生じるカルチャーショックは精神的な症状もありますし、体のだるさとかの身体的な症状も出ます。この選択肢は間違い。
答えは3です。
《参考文献》
小松紘・木村進(2009)『現代と未来をつなぐ実践的見地からの心理学』八千代出版
藤本忠明・東正訓(2004)『ワークショップ人間関係の心理学』ナカニシヤ出版
問4 合理化
防衛機制という用語が出てきています。これは心理学の用語です。
人は適応できなかったり緊張を感じたりすると、その状況を回避して自分を守るための試みを行います。これを防衛機制と言います。この防衛機制は小松・木村(2009: 157-158)によると10個ありまして、合理化はそのうちの一つです。合理化とは、『行動や態度などにおいて、葛藤や罪悪感を正当化するために社会的に認められると思われる理由づけをすること』(木村 2009: 158)です。
1 これは抑圧(repression)
2 これは補償(compensation)
3 これが合理化(rationalization)
4 これは置き換え(displacement)
答えは3です。
《参考文献》
小松紘・木村進(2009)『現代と未来をつなぐ実践的見地からの心理学』八千代出版
問5 周囲からの心理的援助
選択肢1
正しいです。留学生同士の接触が増えると日常で困っていることなどを共有し、ストレスを軽減できるかもしれません。
選択肢2
日本語教師も授業で触れ合う留学生の心のケアを部分的にでも行うべきです。一番近いところにいる日本人なので。
選択肢3
正しいです。日本語教師が留学生に代わり、留学生の問題をカウンセラーに相談することで、間接的に留学生を取り巻く環境が変わるかもしれません。
選択肢4
正しいです。間接的に留学生を取り巻く環境が変わるかもしれません。
答えは2です。
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