平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(7)解説
(7)語義の変化
この問題を解くためにはシネクドキー(提喩)の知識が必要です。シネクドキーは上位概念を下位概念で、また下位概念を上位概念で言い換える比喩の一種です。説明のときよく例として挙げられるのは「花見に行く」。「花見」は「花を見る」と書くのに実際見るのは「桜」です。つまり上位語「花」で下位語「桜」を指しています。
ちょっと理解しにくいかもしれませんが、一つひとつ見ていきます。
選択肢1
「健康診断」「健康はどうですか?」などの「健康」は病気の有無や体の状態を表す中立的な語ですが、例文では「病気がない」という意味で「健康」が使われてます。上位概念で下位概念を指すシネクドキーです。
選択肢2
「天気予報」「天気はどうですか?」の「天気」は気象全般を指す中立的な語ですが、例文では「晴れ」という意味で使われてます。上位概念で下位概念を指すシネクドキーです。
選択肢3
「機嫌がいい」「機嫌が悪い」の「機嫌」は気分の状態を指す中立的な語ですが、例文では「いい気分」という意味で使われてます。上位概念で下位概念を指すシネクドキーです。
選択肢4
「行事」は「行事」。シネクドキーではありません。
選択肢5
「評価項目」「評価を気にする」の「評価」は中立的な語ですが、例文では「いい評価」という意味で使われています。上位概念で下位概念を指すシネクドキーです。
つまり選択肢1、2、3、5は元々の語義ではない使われ方をしています。
したがって答えは4です。
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