6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

【練習問題】(14)撥音の調音点

【練習問題】(14)撥音の調音点

【 】内に示した観点から見て、他と性質の異なるものを、それぞれ1~5の中から一つ選べ。
 
【撥音の調音点】
 1 進呈
 2 銭湯
 3 侵入
 4 反対
 5 半島











解説

 撥音「ん」は後続音によって調音点が変わります。←これ重要
 連続する二つの音を発音しやすくするために、特定の「ん」は後続音の調音点を利用し、鼻音で発音されます。
 こんな説明だとよく分からないと思うんですが、とりあえずこういう問題が出てきたら「ん」の後続音に注目しましょう。

 1 「ん」の後続音は歯茎音 [t]  → 「ん」は有声歯茎鼻音
 2 「ん」の後続音は歯茎音 [t]  → 「ん」は有声歯茎鼻音
 3 「ん」の後続音は硬口蓋音 [ɲ] → 「ん」は有声硬口蓋鼻音
 4 「ん」の後続音は歯茎音 [t]  → 「ん」は有声歯茎鼻音
 5 「ん」の後続音は歯茎音 [t]  → 「ん」は有声歯茎鼻音

 すると選択肢3だけ [ɲ] 、他は全部 [t] でした。
 「ん」は後続音の調音点を利用し、かつ鼻音で発音されるわけなので、選択肢3の「ん」だけ有声硬口蓋鼻音で発音されます。
 試しに「しんてい」と「しんにゅう」を繰り返し言ってみてください。「しんてい」の「ん」は舌が歯茎のあたりにあるのに対し、「しんにゅう」の「ん」は歯茎にないはずです。後ろの音によって舌の位置が変わっています。

 答えは3です。




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