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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(4)解説

平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(4)解説

(4)を

 「恋しい」は〔~が~が〕型の文型をとります。例えば次のような。

 (1) 私が 故郷が 恋しい(こと)
 (2) 私が 母の料理が 恋しい(こと)

 このうち、最初の「が」は主体、二つ目の「が」は対象を表します。(1)であれば、「恋しい」という感情を持っている主体が「私」であり、「恋しい」という感情が向く対象が「故郷」です。同じ「が」ですが同じ意味を持っていないことに注意してください。
 で、この学習者は対象の「が」を「を」にしていう誤りが見られます。

選択肢1

 「できる/できない」は〔~が~が〕型です。例えば「私が英語ができない(こと)」など。これも最初の「が」が主体、二つ目の「が」が対象です。
 この学習者も対象の「が」を「を」にしていう誤りが見られます。

選択肢2

 「要る」も〔~が~が〕型を取ります。例えば「私がお金が要る(こと)」など。これも最初の「が」が主体、二つ目の「が」が対象です。
 この学習者も対象の「が」を「を」にしていう誤りが見られます。

選択肢3

 主節の述語「なくなる」が〔~が〕型をとります。例えば「財布がなくなる」などです。この「が」は主体を表すもの。「なくなる」は対象をとらない動詞です。
 この学習者は主体の「が」を「を」にしていう誤りが見られます。他の選択肢と違う。

選択肢4

 「好き」は〔~が~が〕型をとります。例えば「私がケーキが好き(なこと)」など。これも最初の「が」が主体、二つ目の「が」が対象です。
 この学習者も対象の「が」を「を」にしていう誤りが見られます。

 選択肢3が主体「が」と「を」を混同していて、問題とは異なる性質の誤用です。
 したがって答えは3です。




コメント

コメント一覧 (3件)

  • こんにちは。
    ガ格に置き換えて考えたときに、
    (1)は、動作主が何をできるのかを示す対象格、
    (2)は、動作主が何を必要とするのかを示す対象格、
    (4)は、動作主が何を好むのかを示す対象格
    であるのに対し、
    (3)だけは、動作主が何かを「なくす」のではなく痛みそのものがなくなる/消えるため、ガ格は主体を意味しているのではないでしょうか。

    • >じゅりさん
      確認いたしました。じゅりさんのおっしゃる内容で間違いないように感じています!
      ご協力ありがとうございました。解説を修正しておきます。

      • 古い過去問は解説が手に入りにくく、このサイトの情報は非常に貴重です。いつも一方的に情報をいただくばかりでしたから、微力ながらお役に立てて何よりです。

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