今日は、先週突然外国語学院から要請された2年スピーチの授業がありました。4月末ごろに学内スピーチ大会があるので、それに向けた練習をするための授業です。スピーチ大会では、あらかじめ知らされたテーマでスピーチする命題スピーチと、その場でテーマを知らされてスピーチをする即興スピーチの2つあります。
命題スピーチのほうは、昔だったら教員と検討して原稿を作っていましたが、今はもうAIもあるので、学生がそれぞれAIと相談しながら原稿を作ってもらう形にしました。そうすると文法や語彙の問題はほとんど出ないと考えられます。一方で、AIではどうにもならない発音などの問題があれば各々が日本人教員に相談するよう学生に伝えました。
学生にとってより問題なのは即興スピーチのほうです。テーマを知らされて1~2分後に80~100秒程度の即興スピーチをするわけなので、自分の意見を即興でまとめて言う能力が必要です。スピーチというと表現豊かに、身振り手振りを添えて…みたいなイメージがあるんですけど、私はそんなことよりも、まずは自分の意見を即興で短くてもいいから言えるようになることを優先すべきだと考えました。そこで、スピーチの練習というよりは、自分の意見を即興で言う練習をするために、ディベートの授業を採用することにしたわけです。

今日は最初だったので、とりあえずはやり方を皆に知ってもらう段階です。まずは賛成側と反対側がそれぞれ主張し、その後に一人ずつ反論し、相手はそれに答え… それが終わったら自由討論を10~15分ほど。最後に周りで見ている人たちによっていろいろ評価をしてもらう形です。
今日のテーマは「不老不死に賛成か、反対か」でした。
結論から言いますと… やっぱり学生のレベルの差もありますし、ディベートへの参加姿勢も様々です。16人いたんですけど、3分の2くらいの学生は自分の言いたいことをスマホに入力して翻訳し、その翻訳文をただ読み上げて意見を言う、という手法をとっていました。この方法だと自分が言いたいことは言えますけど、翻訳された文には自分が本来使えない表現が含まれているので、ただ言いたいことを言っただけになってしまいます。何より、スマホを介している時点で即興ではないので大問題です。
スマホを読んでいて即興ではない
相手の話を聞いていない、見ていない
声が小さい
日本語で言った後に中国語を言うので、日本語を聞かない
翻訳された文は難しい表現も含まれています。なので相手側はその日本語を聞き取ることができません。すると、一方が話しているときに、もう一方はそれを聞かず、自分の意見をスマホに入力するという事態が起きます。相手の話を聞いていないし、相手も見ていないので、討論というにはちょっと変なものになっていました。また、相手は翻訳された日本語を聞き取ることができないので、文を読み上げた後に中国語で説明するという現象が起きて、結局は中国語での討論になっているというのも問題です。

1回目のディベートが終わってこのような問題が出たので、この問題について対応しました。言いたいことがあっても、実際に語彙量や引き出せる表現の問題で、実際に言えることはそれよりも少なくなってしまいます。言えることは頭から直接出力できますが、言えないことを出力するにはスマホが必要になってくる。なので、まずは言えることをスマホなしで言ってみよう!という最初の”意見を言う”段階から入りました。この指導をした後に2回目のディベートです。
たぶんこういう問題が出るだろうと予測できていたので、2回目の学生にはわざと日本語が上手な学生を配置してました。そのおかげか、2回目はすごくうまく討論できたのでよかったです。多くの学生がスマホを見ず日本語でやり取りする状況もあったし、論点も明確で、即興で相手の論を否定するような場面もあり、なかなか改善されました。
授業の終わりには、学生から「次のテーマは簡単にしてください!」って言われたので、そこは結構私の失敗です… 「不老不死」をテーマにして討論するのはレベルを超えていたのかもしれません。来週はもっと身近な、生活にかかわるよテーマを選んで、学生のボキャブラリーをフルに使えるようにして、テーマのレベル調整の面からもスマホ使用の頻度を減らせるような工夫ができればと思っているところです。
この授業はあと5回くらいしかない貴重な授業ですから、1回1回濃い内容の即興会話の授業を提供できればと思っています。それでみんなが即興スピーチで全く歯が立たないなんて言うことになって自信を失わないように… そこだけ最低実現させるのが私の目標です。
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