日本語Q&A
質問者さん(中国)
管理人
でも「着させる」は、被使役者に有生物しか取れないようです。なぜなら「着させる」は「着る」という動作を被使役者に強制するので、被使役者が「着る」という動作ができる必要があるからです。
「着せる」と「着させる」の活用
(1) 私が 子どもに 服を 着せる。 (使役)
(2) 私が 子どもに 服を 着させる。(使役)
「着せる」も「着させる」も(1)(2)のような文脈において言い換え可能なので、どちらも使役の意味を持っていることが分かります。ただし「着せる」は辞書形で、「着させる」は「着る」の使役形にあたります。「着せる」は辞書形で使役の意味を持つ特殊な動詞と言ってもいいかも。
(3) 着せる(kise-ru)
(4) 着る(ki-ru) → 着させる(ki-sase-ru) → 着さす(kis-as-u)
ちなみに「着さす」という言い方もありますが、これは「着る」の使役短縮形にあたります。「着る」の使役形「着させる」と同義と考えていいです。
「着せる」と「着させる」の違い
「着せる」と「着させる」の違いは次のような例文でおよそ明らかにできます。
(5) (私が)人形に 服を 着せる。
(6)?(私が)人形に 服を 着させる。
人形に使役する場合は「着せる」が好ましく、「着させる」は不自然になるよう。
「着せる」は使役文における「着させる」と互換性があることから見ても使役の意味を持っていると言えますが、被使役者(人形)に「着る」という動作をさせるわけではなく、使役者(私)が被使役者(人形)の体を動かして衣服を身にまとわせる行為を表します。実質的に動作を行っているのは使役者自身です。意味的には使役でも、実際は使役者による能動、他動を表すので、使役者が被使役者に使役して被使役者が事態を引き起こすという典型的な使役ではありません。
一方、「着させる」は典型的な使役を表すみたい。つまり使役者(私)が被使役者(人形)に使役して、被使役者自身が「着る」という動作を引き起こすことを表します。しかし(6)においては、被使役者である人形は無生物なので、人形自身が意志を持って「着る」という動作を行うことはできません。つまり使役者は被使役者に「着る」という動作を使役することは不可能です。「着させる」は被使役者に「着る」という行為をさせる意味を持つため、「着させる」の被使役者は有生物(「着る」という動作ができる存在)を要求するようです。
まとめると、次のように。
「着せる」は、被使役者は有生物も無生物も可。
「着させる」は、被使役者は有生物のみ可。
「寝せる」と「寝させる」も同じように理解できそうです。
参考文献
なし
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