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【練習問題】(989)現場指示

【練習問題】(989)現場指示

話し手と聞き手の位置を同一的に捉え、発話現場にある事物を指示する場面の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
 
 1 助手席側にある飲み物を助手席に座る人に取ってもらおうとする場面
 2 掃除中に夫が使っていた掃除機を借りて自分が使おうとする場面
 3 ファミレスでテーブルを挟んで座り、お互いの料理を指示する場面
 4 運転手と同乗者が同じバイクに乗り、遠くにある対象を指示する場面











解説

 「話し手と聞き手の位置を同一的に捉え」というのは”話し手と聞き手が同じ場所にいるとき”という意味で、「発話現場にある事物を指示する」とは指示詞の現場指示用法のことです。つまり、話し手と聞き手が同じ場所にいて「これ」「それ」「あれ」などで発話現場にあるものを指すような場面のこと。

 話し手と聞き手が同じ場所にいるとき、話し手と聞き手の近くにあるものには「こ」を使います。とても遠いところにあるとものは「あ」を使います。その中間は「そ」を使います。およそ距離によって「こ」「そ」「あ」の順で対応するという具合です。ちなみに、話し手と聞き手が違う場所にいるときは、話し手の近くにあるものに「こ」を使い、聞き手の近くにあるものに「そ」を使い、話し手と聞き手どちらの近くにもないものには「あ」を使います。このように、現場指示は話し手と聞き手の位置関係によって使い方が違います。

選択肢1

 自分が運転中、相手が助手席にいる場面を想像してください。
 助手席側の飲み物をとってもらうとき「それ取って」と言いますね。
 聞き手の近くにあるものを指して「それ」と言うのは、話し手と聞き手の位置が同一ではなく、違うときの現場指示用法です。
 この選択肢は間違い。

選択肢2

 夫が使っていた掃除機を借りたいときは「それ貸して」みたいに「そ」を使います。
 これも話し手と聞き手の位置が同一ではなく、違うときの現場指示用法なので間違い。

選択肢3

 テーブルを挟んで相手の料理を指すときは「それおいしそう」などと「そ」を使います。
 これも話し手と聞き手の位置が同一ではなく、違うときの現場指示用法。この選択肢は間違いです。

選択肢4

 同じバイクに乗って遠くのものを指すときは「あれ何?」などと「あ」を使います。
 話し手と聞き手が同じ場所にいるときの用法に該当します。この選択肢が答えです。

 答えは4です。




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