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【敬語練習問題】(82)尊敬語使用の心理的な動機

【敬語練習問題】(82)尊敬語使用の心理的な動機

尊敬語を使って特定の人物を立てる場合の心理的な動機として不適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
 
 1 その人物を心から敬っている場合
 2 その人物を心から敬いながら、自分側をへりくだって述べようと思っている場合
 3 その人物を心から敬ってないが、敬った述べ方をしようと思っている場合
 4 その人物を心から敬っておらず、一定の距離を取ろうとしている場合











解説

 「敬語の指針」では、尊敬語を使ってある人物を立てるときの心理的動機の例として次の3つ(など)を挙げています。

 ①その人物を心から敬って述べる場合
 ②その状況でその人物を尊重する述べ方を選ぶ場合
 ③その人物に一定の距離を置いて述べようとする場合
 …

 ①は当たり前で、心から敬っていれば尊敬語が使われるはずです。②は心から敬っていなくても、とりあえずその場は敬っている述べ方を選ぼうとしている場合です。相手が嫌いであっても状況によっては尊敬語を用いるのが望ましい場合も当然あります。③は敬っていない嫌いな相手にも尊敬語を使うと言っていますが、これは親疎関係の「疎」における敬語の使用のことです。親しい人には敬語は使わないですが、親しくない人には使いやすい。敬語は距離を取る機能がありますので、一定の距離を取ろうとしている相手には敬語が用いられます。例えば初対面の人など。

 選択肢2「その人物を心から敬いながら、自分側をへりくだって述べようと思っている場合」は謙譲語Ⅰを使用するときの心理的動機です。「へりくだる」というのがポイントで、尊敬語は自分がへりくだることはありません。へりくだるのはあくまで謙譲語。

 したがって答えは2です。




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