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2022.12.1 様態動詞すげえー

様態動詞すごい

 移動には出発点、経過域、着点が絡んでくる。このうち「出る」などの移動動詞は出発点をヲ格で、「通る」などはその経過域をヲ格で、「入る」などはその移動の着点をニ格で表す。「出る」系は特に問題ないけど、問題が出てくるのは経過域や着点から。まず経過域をヲ格でとる動詞の中には「通る」「渡る」「遮る」などがあるけど、これらのヲ格は必須補語。でも「走る」「歩く」「飛ぶ」「這う」「進む」のような動詞はそのヲ格は必須補語にならないって。だって「道を歩く」っていうときの「道」は情報としての価値がないから-ってこと。説明によると「歩く」は移動そのものを表すんじゃなくて手足を動かすという動作のほうに注目した動詞だから、移動の経過域は必須補語にならないみたい。つまり「走る」「歩く」とかって様態動詞ってことだ。「這う」が一番分かりやすいと思う。「這う」は移動よりも「這う」という動作のほうが強いと思う。だから様態動詞。最近様態動詞っていう見方ができるようになって視点が増えた気がする。

 それから着点をニ格でとる「入る」系の移動動詞だけど、これ系も曲者。「入る」「着く」とかは純然たる移動動詞だから出発点を表す「から」もつけることができる。でも同じ着点をニ格でとる「住む」「泊まる」などは出発点の「から」がつけられない。こういうのは移動そのものを表すんじゃなくて、移動の結果を表してるから結果動詞とか、結果相の動詞って呼ばれることもあるみたい。「住む」のニ格は存在場所だよって今まで教えてたけど、もうちょっと正確に言えば移動の先の存在なんですね。

存在動詞 ある 「に」は存在場所
移動動詞 住む 「に」は移動の先の存在場所
(「~から」がつけられない)
入る 「に」は移動の着点
(「~から」がつけられる)

 それから、「で」と「に」の違いは?って話になった。私は動的述語の動作場所に「で」を使って、静的述語(存在など)の存在場所に「に」を使うと思ってました。いやこれはほとんどあってるし、学習者に対する説明としてはいいと思う。でも「立つ」はどうだろう。「~で立つ」とも言えるし、「~に立つ」とも言える。「立つ」って動的述語だから「に」が使えるのはおかしくない? 確かに。さてどう説明しよう。

~にいる 存在動詞
~に入る 結果動詞
着点を表す移動動詞
移動動詞
~に or ~で 立つ、浮かぶ
(様態のニュアンスを含めうる)
~で歩く 過程(様態)を表す移動動詞

 議論の結果、「立つ」とか「浮かぶ」とかは移動の動作でもあるけど、「立つ」なら直立状態という様態、「寝る」なら横たわる様態を表すことができる。移動の動作のほうを強く言いたいんだったら純粋な移動動詞「入る」のほうに意味的に近づいて「に」を使いやすくなり、様態のほうを強く言いたいんだったら「歩く」のような移動を表しつつ様態を強く言う動詞のほうに近づくから「で」を使いやすくなる、みたいな。これは納得。「立つ」も様態動詞のような立場だったんだ。様態動詞がいろいろ目先の問題を解決していくような気がして驚きではある。

課題が多い

 毎週何かしらの課題があるからそれに追われてます。大学院入って2年間また学生に戻ってゆっくりしようって考えてたのに想定外。甘すぎた。でも辛さのない忙しさでむしろいろんな知識に触れられるから楽しい。しかしながら私は研究者には向いてないなと思う。大学院にいる以上自分の研究は1本ちゃんと完成させるけど、そのあと続けていけるかというと微妙。そもそも研究より教える仕事のほうが好きだから、教える仕事のほうに還元できるようなことをしたい。今の自分の研究も教える方に繋がるものだし、今毎日課題をして勉強してるのも教える方に繋がるものだし。そのあたりちゃんと自分を見失わないようにしないといけないと思う。将来まかり間違って研究者になってしまったらたぶん私は苦しんで毎日過ごすはず。幸せではなくなるに違いない。脱力してのんびり生きていければいいかなと思います。




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