日本語Q&A
質問者さん(中国)
管理人
でも「先に行きます」だと一人で行く感が強くなって、あとで連絡を取るような感じもしなくなります。ちょっと冷たい。
問題提起
(1)A:私は後で向かいます。
B:では、先に行ってます。
このような文の中で、日本語では「行って(い)ます」とテイル形を使うことがあります。テイル形というと、代表的な意味は<進行中>ですが、この文における「行く」は発話時よりも未来に生起する出来事です。未来の出来事に対してテイルを使っているので、これに対して不思議に思ったんだと思います。私たち日本語教師から見てもちょっと不思議に映るテイルです。未来の動作の進行中を表すテイルという解釈もできそうですが、一応先人たちがこれについて分析しています。
テイル形を用いると聞き手に配慮した表現になる
(1)A:私は後で向かいます。
B:では、先に行ってます。 <テイル形>
(2)A:私は後で向かいます。
B:では、先に行きます。 <スル形>
谷口(1997)は、スル形を用いた(1)よりも、テイル形を用いた(2)のほうが聞き手に対する配慮が感じられることを指摘しています。別れの挨拶で主に使われますが、もし(2)のように言えば別れた後に会わないことを含意しますが、(1)のように言えば後でなんらかの形で会ったり、連絡を取ったりすることを表せます。これが聞き手に対する配慮です。話し手の主観が入ることから、谷口(1997)はこれをテイル形のムード的側面ととらえ、また、武田(2010:34)は「『待ち合わせ』のシテイル」と呼んでいます。
その他の例とまとめ
(3) 先行って着替えてるね。
(4) また後で会いましょう。図書館で勉強していますので。
(5) 晩ご飯ができるまで、ここでテレビでも見てて。
意外と気づかなかっただけで身近で結構使われてます。
日本語教育的にはどう教えればいいのかという問題なんですが… ①誰かと別れるときに「行きます」などのスル形を使うと一人で行動して後で会わない感が強くなること、②「行って(い)ます」のようにテイル形を使えば後で会うことを含意して<聞き手への配慮>を表せること、がポイントになるかと思います。
参考文献
谷口秀治(1997)「テイル形に関するムード的側面の考察」『日本語教育』92号, 143–152.
武田英里子(2010)「描写時点の設置からみる「していた」」『千葉大学日本文化論叢』11号, pp.65-76

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