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日本語Q&A
質問者さん(日本)
「敬語の指針」には、「ご~される」(ご説明される、ご利用される…)は本来適切な尊敬語ではないと書かれていますが、なぜでしょうか。
規範的には謙譲語Ⅰと尊敬語が混じって矛盾が生じているとみる
(1)a 説明する
b ご説明する (+謙譲語Ⅰ「ご~する」)
c ご説明される (+尊敬語「~される」)
「説明する」に謙譲語Ⅰの形式「ご~する」をつけて「ご説明する」とし、さらに「する」を尊敬語の形式「される」にしたものが「ご説明される」です。一つの語に謙譲語Ⅰの形式と尊敬語の形式が含まれています。謙譲語Ⅰによって自分または自分側の行為「説明する」をへりくだっていますが、しかし同時に尊敬語で「説明する」という行為を行う自分または自分側を立てることになります。同じ人物をへりくだったり立てたりしている点に矛盾が見られるので、本来適切な形ではないとされています。(ちなみに「ご~される」は二重敬語ではありません。二重敬語は一つの語に同じ種類の敬語を複数使ったものを指すからです)
「ご~される」が尊敬語の形として定着しつつある
ただし、現代では「ご~される」自体が一つの尊敬語の形式として用いられてきているようです。例えば次のような例。
(2) 先の会議では社長がご説明されました。
(3) ポイントをご利用されますか?
(4) お客様がご帰宅されました。
(5) ユーザー様ご自身がご判断されるようお願いします。
(6) 数件ご内覧されてすぐにご決断される方もいらっしゃいます。
規範的には不適切だとみなされてはいますが、言語実態としては存在します。
参考文献
文化庁(2007)『敬語の指針』
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