三数形とは?

三数形(trial number)

 日本語共通語を観察すると、「猫」は1匹を指し、「猫たち」では2匹以上を指すように、単数と複数を区別します。しかし、世界の諸言語を観察すると、2つのものを指す特別な形式を持つ言語があったり、3つのものを指す形式を持つ言語があったりします。2つのものを指すのは双数形と呼び、日本語の湯湾方言やサンスクリット語に見られます。詳しくは「双数形」をご覧ください。3つのものを指す形式三数形と呼ばれ、三数形を持つ言語は少数です。

 例えば、アンナトム島のメラネシア語は、単数、双数、三数、複数の区別を持ちます(ブルームフィールド 1962: 341)。

人称 単複 話し手を含まない除外形 話し手を含む包括形
一人称 単数 [anijak] 私 (ほんとは包括形とは言わない)
双数 [aijumrau] 私たち2人 [akaijau] 私たち2人
三数 [aijumtai] 私たち3人 [akataij] 私たち3人
複数 [aijama] 私たち4人以上 [akaija] 私たち4人以上

 一人称でいうと、話し手自身だけを指す場合は [anijak] です。しかし、私たち2人を指す場合は、除外形では [aijumrau]、包括形では [akaijau] になります。これは双数形です。ただ、メラネシア語の珍しいところは、三数形があることです。除外形では [aijumtai]、包括形では [akataij] で一人称三数形となります

 以下は二人称、三人称の例です。

人称 単複 形態
二人称 単数 [aiek] あなた
双数 [aijaurau] あなたたち2人
三数 [aijautaij] あなたたち3人
複数 [aijaua] あなたたち4人以上
三人称 単数 [aien] 彼
双数 [arau] 彼ら2人
三数 [ahtaij] 彼ら3人
複数 [ara] 彼ら4人以上

参考文献

 ブルームフィールド(著)・三宅鴻(訳)・日野資純(訳)(1962)『言語』339-241. 大修館書店




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