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全身反応教授法とは?(TPR)

全身反応教授法(TPR:Total Physical Response)

 アメリカの心理学者アッシャー(J.J.Asher)が開発した、学習者が教師の与える命令に身体動作で反応することを通じて言語を習得させようとする教授法全身反応教授法(TPR:Total Physical Response)と言います。この教授法は、アッシャーによる幼児の母語習得過程の観察結果が反映されています。幼児は話し始める前に周囲の人々からたくさんの言葉を聞き、また、その「聞く」という行為は「笑って」「見て」「食べて」などの指示に対して幼児自身が反応したり、周囲の人が反応するのを見たりしてその意味を理解しようとしていると考えました。この過程を外国語教育に応用し、実際の授業では教師の与える命令に学習者が身体的な動きで反応する中で言語を習得させようとします。

 本を取ってください。
 赤い本を取ってください。
 大きい本を取ってください。
 赤くて大きい本を取ってください。 

 日本語の場合は「~してください」が最も用いられ、まずは「立ってください」「座ってください」などの簡単な命令から始まり、「本を取ってください」「ドアを開けてください」「~さんがノックしたらドアを開けてください」のような複雑な命令へと移っていきます。その間、教師は一切の文法説明をしません。

 初級では幼児と同様にことばを聞いて体で反応を示すことだけが求められるので、教師は学習者に発話させることはありません。自然に発話したくなるまで待ち、そうなってはじめて自発的な発話を許しますが、発話が不正確で流暢でなかったとしても訂正することはしません。このようにして発話にかかる不安や緊張を取り除き、学習者の意欲を削がないように配慮します。しかし、体で反応を示すことが幼稚に感じて不満を抱くこともあったり、身体動作では表せない抽象的概念(自由、病院など)や機能語などの指導が大変困難だったりとデメリットもあります。

 全身反応教授法は幼児の母語習得過程を参考にしているのでナチュラル・メソッドの一種とも言えますし、媒介語を介在させないので直接法の一種とも言えます。

参考文献

 石田敏子(1988)『日本語教授法 改訂新版』37-38頁.大修館書店
 安達幸子(1998)「TPR(全身反応教授法)」『日本語教授法ワークショップ』43-56頁.凡人社
 木村宗男・阪田雪子・窪田富男・川本喬(1989)『日本語教授法』57-58頁.おうふう




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