令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

問1 シャドーイング

 シャドーイング何も見ないで音声を聞き、その音声を追うようにできるだけ間をあかずに復唱する活動のことです。同じように発音することを重視した練習なので、目標言語のプロソディ(韻律的特徴:例えばイントネーション、リズムとか)を身につけるのに有効な練習です。

 1 これが答え
 2 復唱できないと意味がないので、ちょうどいいレベルがいいと思います
 3 聞かせてから繰り返させるのはシャドーイングではなくリピーティング
 4 ???

 答えは1です。

問2 ビルド・アップ練習法

 ビルド・アップ練習法とは、長めの文をだいたい文節に区切って文末のほうから復唱させ、だんだん繋げて長くしていく発話練習のことです。例えば「10時に公園でバーベキューをします」だったら、教師のモデル発話「します」を学習者に復唱させ、次は「バーベキューをします」、次は「公園でバーベキューをします」、最後に「10時に公園でバーベキューをします」へと繋げていきます。長めの文章を一度に全て復唱させると難しいので、こうやって少しずつ慣れさせていきます。

選択肢1

 パターン・プラクティス代入練習です。教師のキューに対して適当な助詞を代入させてます。この選択肢は間違い。

選択肢2

 これも代入練習です。

選択肢3

 ただ復唱させるだけの練習。

選択肢4

 これがビルド・アップ練習法。文の後ろのほうから復唱させ、最後に完全な文の復唱へと繋げていきます。

 答えは4です。
 

問3 パターン・プラクティス

 パターン・プラクティスオーディオ・リンガル・メソッドで使われた練習の総称で、文型をいろんな形で機械的に発話させて身につけさせようとします。いろんな練習方法があるので、詳しくは代入練習転換練習応答練習拡張練習をご覧ください。

 教 師:学校に行きます。
 学習者:学校に行きます。
 教 師:自転車で学校に行きます。
 学習者:自転車で学校に行きます。
 教 師:8時に自転車で学校に行きます。
 学習者:8時に自転車で学校に行きます。

 ↑は拡張練習の例です。

選択肢1

 こういう練習を長い時間やり続けるとやっぱ飽きちゃいます。この選択肢は適当です。

選択肢2

 (1) 教 師:学校、行きます。
     学習者:学校に行きます。  ←格助詞を入れる
 (2) 教 師:ご飯を食べます。
     学習者:ご飯を食べました。 ←過去形にする

 (1)のような格助詞を入れさせる場合は代入練習が向いてますが、(2)のような活用の練習に代入練習は向いてません。(2)だったら転換練習(変形練習)がいいです。こんなふうに文法項目によって練習法を変えたほうがいいので、この選択肢は適当。

選択肢3

 同じ練習ばっかりすると慣れちゃうので緊張感が保てないかも。練習法を変えるとぴりっとさせられます。これは適当。

選択肢4

 パターン・プラクティスは習慣を形成するために何度も何度も機械的に発話させる練習のことです。機械的に流暢かつ正確に反応できるようになればおkと考えます。その時意味には焦点を当てません。学習者が意味を考えて行う練習を行った場合、それはもうパターン・プラクティスではなくなっちゃうので、この選択肢は間違い。

 答えは4です。

問4 ラポート・トーク

 男性は自分が持っている知識とか情報を相手に提供することが相手と話をすることであり、それに心地よく感じます。こうした話し方はレポート・トークと言います。一方、女性は相手と共感できるような話題で話をすることで心地よさを感じ、それを感じることが会話の目的です。これはラポート・トークと言います。男女で話し方が違うよ、というお話(Tannen 1990)。詳しくは「ラポート・トークとレポート・トークについて」をご覧ください。

 1 教師は情報提供してるからリポート・トーク的
 2 教師は話を掘り下げて共感的な会話をしてます。ラポート・トーク的
 3 教師は小ネタ挟んで情報提供してるからリポート・トーク的
 4 これも情報提供してるからリポート・トーク的

 答えは2です。

問5 選択権(チョイス)

 選択権とは、タスクにおいてどのような表現を用いるか、どう振る舞うかなどを選択する学習者に与えられた自由のことです。これがあると現実的なコミュニケーションに近くなるので、コミュニカティブ・アプローチにおける活動では必須とされています。

 <資料>のタスクには3つの空欄があります。

 一つ目の  ★  には質問者が①~③の中から一つ選んで言うんですが、選択肢から選ぶということはその学習者に自由に選ぶ選択権がないことを意味します。次のBさんは先の質問に対して一番好きなものを     に自由に入れて回答できます。ここは学習者に選択権があります。3つ目の     もAさんが自由に入れられますので自由権は保たれてます。自由権がないのは最初のやつだけです。

 回答内容である2つ目と3つ目の空欄は選択権がありますが、一つ目の空欄は3つの選択肢(言語形式)から1つ選ぶので選択権がありません
 答えは2です。




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