令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

問1 日本語能力試験

選択肢1

 日本語能力試験では、①日本語の文字や語彙、文法についてどのぐらい知っているか、ということだけでなく、②その知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるか、ということも大切だと考えています。(中略)言語知識だけでなく、それを実際に利用する力も必要だからです。

 『4つの特徴 | 日本語能力試験 JLPT』の「課題遂行のための言語コミュニケーション能力を測ります」の欄にはこのように書かれています。この選択肢が答えです。

選択肢2

 CBTはパソコンで受験するタイプの試験です。JLPTは現地会場で筆記で受験するのでこれは間違い。

選択肢3

 一次試験とか二次試験はありません。

選択肢4

 1年で2回、7月と12月に行われています。

 答えは1です。

問2 日本留学試験

 『日本留学試験の実施要項 | JASSO』には「日本の大学等での勉学に対応できる日本語力(アカデミック・ジャパニーズ)を測定する」と書かれており、記述式問題の出題もあることが書かれています。

 答えは4です。

問3 2023年時点の基準

 『高等教育機関等へ入学するための日本語能力について | 出入国在留管理庁』には「専修学校、各種学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関へ入学する場合」のうち、「専修学校若しくは各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を試験により証明された者」の条件として次の3つを挙げています。

 ア 公益財団法人日本国際教育支援協会及び独立行政法人国際交流基金が実施する日本語能力試験(JLPT)のN1(1級)又はN2(2級)に合格した者
 イ 独立行政法人日本学生支援機構が実施する日本留学試験(日本語(読解、聴解及び聴読解の合計))の200点以上を取得した者
 ウ 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テストの400点以上を取得した者

 1 上記のアに該当
 2 なし
 3 上記のイに該当
 4 上記のウに該当

 答えは2です。

問4 主観テスト

 ここでは主観テストと客観テストが出てきてますので簡単に説明します。
 主観テスト作文とかロールプレイとか、明確な正答が用意されていなくて、採点の際に採点者の主観が入り込むタイプのテストのことです。
 客観テスト明確な正答が用意されていて、それにしたがって採点すれば採点者の主観が入り込まないタイプのテストです。

選択肢1

 採点がより容易なのは客観テストです。客観テストは明確な答えが用意されているので、解答に照らして機械的に〇✕と採点していけます。でも主観テストは明確な答えがないのである程度採点者の裁量で採点することになり、時間がかかります。
 「主観テストは客観テストと比べ、採点が容易」というこの選択肢の記述は間違い。

選択肢2

 選択肢1と同じく「主観テストは客観テストと比べ、採点が容易」というこの選択肢の記述は間違い。

選択肢3

 テストの作成がより容易なのは主観テストです。例えば作文のテストだったら「昔の思い出」「好きな季節」「最近の趣味」などとテーマだけ考えればテストが作れます。でも客観テストは「子どもたち(  )公園で遊んでいます」みたいに空欄を作って選択肢を作って… みたいな手間が多くかかります。なので「主観テストは客観テストと比べ、作成が容易」という記述は正しいです。

 また、測りたいものをちゃんと測れてるかどうかの妥当性は主観テストのほうが保たれやすいです。例えば「昔の思い出」というテーマで作文を書かせるとすると、このテストでは日本語の文章を書く力をまさに測定できるので妥当性が高くなります。しかし「子どもたち(  )公園で遊んでいます」の空欄に助詞を入れさせるような客観テストは、助詞を正しく使えるかどうか測定したいのに、文字を読ませる読解の要素も含まれているので妥当性が低くなります。なので「主観テストは客観テストと比べ、妥当性は得やすい」とする記述も正しいです。

 最後に、そのテストがどれだけ安定した結果が得られるかを示す信頼性は客観テストのほうが保たれます。なぜなら客観テストは明確な答えがあるので、その答えに照らして採点をすることで採点結果は同じようになるからです。しかし主観テストは明確な答えがないためにある程度採点者の裁量で採点することになり、テスト結果が安定しません。よって「主観テストは客観テストと比べ、信頼性が課題となる」とする記述も正しいです。

 この選択肢が答え。

選択肢4

 選択肢3の内容から、この選択肢は間違い。

 答えは3です。

問5 ジャーナル

 ジャーナルとは、実習ジャーナルとも呼ばれ、「授業観察の準備の段階から教壇実習を完了しその結果の評価までの段階で、どのような点に注目し、どんなことを考え感じたかの推移をその度に記録していくもの」(岡崎ら 1997: 57)のことを指します。

 1 取材活動? 関係なし
 2 作文を読み合う? 関係なし
 3 「学習活動の記録」とあり、これがジャーナル。学習者のジャーナルを先生と共有すると色んな話し合いができます
 4 謎

 答えは3です。

 《参考文献》
 岡崎敏雄・岡崎眸(1997)『日本語教育の実習 理論と実践』57頁.アルク




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