令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

問1 PPP

 結論からいうと、PPP(Presentation-Practice-Production)が答えです。PPPは教授法ではなく、指導法と読んだほうがいいやつ。まず文法項目を導入(Presentation)して、教えた文法規則を使って練習(Practice)します。そのあとは応用練習みたいな形で文法項目を実際に使い(Production)、この3ステップを通して行う文法指導のことです。文型シラバスにもとづく授業では、ごく当たり前のようにこのPPPがやられています。

 1 CBIは内容重視
 2 これが答え
 3 TBLTはタスク重視
 4 TPRは音声重視

 答えは2です。

問2 社会言語能力

 文章中に出ている文法能力、談話能力、社会言語能力、方略能力については以下参照。

文法能力 音声、発音、単語、文法、綴り、語構成など、単一の文レベルで正確に使用できる能力。
正しさ、正確さの能力。
談話能力 文全体の意味や形式などを一致させ、前後の文脈を結びつけた分かりやすい談話を複数の文にまたがって作り出す能力。
分かりやすさ(明晰さ)の能力。
社会言語能力
社会言語学的能力
その場の場面や状況にあったふさわしい表現を使用できる能力。
社会的に「適切」な言語を使う能力。
ふさわしさ(適切さ)の能力。 語用論的能力ともいう。
方略能力
ストラテジー能力
言語知識が不十分でコミュニケーション上の問題が起こった時にそれを乗り越えるための能力。
コミュニケーション・ストラテジー(communication strategy)を使う能力。

 1 言い間違いを直せるということは文法能力があるということ
 2 順序立てて話せるということは、談話を組み立てる談話能力があるということ
 3 分からない言葉を理解できるのは方略能力
 4 適切な場面で適切な表現を使う能力は社会言語能力

 答えは4です。

問3 コミュニカティブ・アプローチ

 コミュニカティブ・アプローチとは、簡単にいうとコミュニケーション能力を獲得させようとする教授法のことです。授業内で現実のコミュニケーション場面を作り出そうとします。

選択肢1

 コミュニカティブ・アプローチは学習者のニーズにもとづいて学習内容を決めます。だから前の文は正しいです。
 でも難易度順に段階的に導入するわけではありません。学習項目はニーズにもとづくので、必ずしも簡単なものから扱えるとは限りません。たとえば入試の面接に対応できるようになりたいという学習者がいれば、難易度順とは関係なくそのニーズを満たす授業をします。この選択肢は間違い。

選択肢2

 グループワークを取り入れて実際のコミュニケーション場面を生み出すのは正しいですが、「目標の言語形式に重点」というのが間違い。コミュニカティブ・アプローチは意味に焦点を当て、形式には焦点を当てません。この選択肢は間違い。

選択肢3

 コミュニカティブ・アプローチは媒介語の使用を禁止してません。これは間違い。

選択肢4

 「形式の正しさよりも意味の伝達を優先する」は正しいです。選択肢2でも述べましたが、コミュニカティブ・アプローチは形式ではなく意味に焦点をあてた教授法です。これが答え。

 答えは4です。

問4 機能シラバス

 機能シラバス言語の機能に焦点をあてたシラバスのことです。例えば「一緒にご飯に行きませんか?」という問いかけに対して拒否をする場合、素直に「行きません」という言い方もありますが、拒否する機能を持った表現は「行きません」だけではなく、「お腹がいっぱいです」「用事があります」など様々です。言語の文字通りの意味ではなく、広い意味としての機能に焦点を当てたのはこの機能シラバスです。

 1 「働き」というのがキーワード。これが答え
 2 トピックだから話題シラバスの記述
 3 状況だから場面シラバスの記述
 4 必要とされる技能だから技能シラバスの記述

 答えは1です。

問5 第二言語不安

 第二言語不安とは、第二言語の学習や使用に関わる不安や心配と、それによって引き起こされる緊張や焦りなどのことです。外国語を使うときは今言った表現は正しいのか、正しく発音できてるかとか不安があると思います。そういうやつ。

 これを緩和するために教師がすべきこととは…

 1 競り合わせると緊張するので逆効果
 2 励ましたり支援すると第二言語不安が緩和させられそう。
 3 緊張感を保とうとすると第二言語不安が深刻になるのでダメ
 4 個人の能力別にその対応を変えないと、不安を増長させてしまうかもしれません。

 答えは2です。




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