令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説

問1 定着化

 特定の項目が誤用のまま残ってしまう現象は第二言語習得研究で  定着化(stabilization)  と呼ばれています。もともと  化石化(fossilization)  と呼ばれていたんですが、定着化に呼び改められています。

 1 これが答え
 2 「文字の形を知識をもとに意味づけ」ることを符号化と言います(苧阪 2002:14)
 3 内容語が機能語として文法的な意味を担うようになる現象を文法化と言います
 4 ある文法規則を適用できない言語形式に適用することを過剰般化と言います。誤用の一種。

 答えは1です。

 《参考文献》
 苧阪満里子(2002)『ワーキングメモリ―脳のメモ帳』12-15頁.新曜社

問2 適性処遇交互作用

 適性処遇交互作用とは、学習者の適性と教師の指導(処遇)が合うと指導の効果が大きくなり、合わないと指導の効果が小さくなるという考え方のことです。

 1 「学習者の習得状況に合った指導」が間違い。正しくは「学習者の適性に合った指導」。
 2 これが答え
 3 適性処遇交互作用は適性が変化するとかそんなこと言ってません。
 4 適性処遇交互作用は適性が変化するとかそんなこと言ってないので「適性を変化させるような指導」は間違い

 答えは2です。

問3 ビリーフ

 言語教育におけるビリーフとは、その人が持っている「こうすれば言語習得が促進される」等の言語に関する個人的な意見のことです。学習者にも教師にもそれぞれビリーフがあるんですが、授業ではだいたい教師のビリーフにしたがって授業が行われます。例えば教師が「たくさん単語を覚えることが近道だ」というビリーフを持っていたら、学習者に単語をたくさん与える授業をするかもしれません。でも学習者は教師と同じビリーフを持っているとは限らないので、その場合は学習意欲が下がったりする可能性があります。

 1 ???
 2 これがビリーフ
 3 ???
 4 ラポールの記述だと思う

 答えは2です。

問4 ワーキングメモリ

選択肢1

 外から入ってきた情報のうち、注意が向けられた情報だけが感覚記憶という貯蔵庫に記憶されます。この選択肢は感覚記憶の記述です。

選択肢2

 「五感を通して入る感覚的な情報」とあるので、この選択肢も感覚記憶の記述です。

選択肢3

 容量の制限がなく、半永久的に情報を貯蔵する貯蔵庫は長期記憶です。この選択肢はワーキングメモリの記述ではありません。

選択肢4

 これがワーキングメモリの記述。情報を一時的に保持する機能と情報を処理する機能を持っています。

 答えは4です。

 《参考文献》
 アラン・バドリー(著)・井関龍太(訳)・齊藤智(訳)・川崎惠里子(訳)(2012)『ワーキングメモリ 思考と行為の心理学的基盤』誠信書房
 太田信夫・多鹿秀継(2000)『記憶研究の最前線』北大路書房

問5 外国語副作用

 外国語副作用とは、慣れてない外国語を使っているときに起こる一時的な思考の低下現象のことです。例えば、私たち日本語母語話者は日本語を話しながら家事したり、運転したりすることができますが、慣れない外国語を話しながら家事したり運転しようとしたら、どっちかの処理がおろそかになってしまいます。外国語をうまく話そうとすれば家事や運転ができなくなるし、家事や運転をしっかりしようと思えばそれに処理がとられて外国語がうまく話せなくなります。そんな現象のことです。

 1 これが答え
 2 外国語の学習者あるある。名前はわからない
 3 ???
 4 名前がついてるか知らないけどこれもあるある

 答えは1です。




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