令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

問1 文法訳読法

 文法訳読法は、教師が文法説明をして、その説明にしたがって学習者は文を訳していく教授法です。

 1 文法項目の意味は教師から説明されるから考える必要がないし、機械的に翻訳するだけなので能動的ではなく受動的。これは間違い。
 2 「帰納的」が間違い、正しくは「演繹的」。学んだ規則を使って機械的に翻訳します。
 3 これが答え
 4 ???

 答えは3です。

問2 コミュニティ・ランゲージ・ラーニング

 コミュニティ・ランゲージ・ラーニングはカウンセリングの理論を言語教育に応用した教授法です。できるだけ学習者の不安や緊張を取り除き、それが言語習得を促進するという考え方をとってます。授業では教師をカウンセラー、学習者をクライアントにみたて、教師は学習者の不安を取り除くために積極的に媒介語を使ったりします。

 1 正しいです。CLLでは教師はカウンセラーの役割
 2 CLLは発達段階に応じて徐々に媒介語の使用を減らしながら授業を進めるので正しいです。
 3 これはCLLの最大の特徴。教えるのはあらかじめ決まってないので後行シラバスになります。これは正しい。
 4 CLLでは強制的に目標言語を使わせるようなことはしません。そうすると不安を増長させるからです。

 答えは4です。

問3 サイレント・ウェイ

 サイレント・ウェイは、気づきが習得の近道であるという考え方にもとづき、教師は極力話さずに学習者に築かせるような授業を行います。教具が特殊なので普通の日本語教育では採用されないやつ。

 1 これは全身反応教授法TPR)の記述
 2 「気づき」というキーワードがあるのでこれが答え
 3 これなんだっけ! 喉まで来てるのに思い出せない…
 4 習慣形成理論の記述

 答えは2です。

問4 サジェストペディア

 サジェストペディアは緊張や不安がない状態が言語習得を促進させるという考え方にもとづく、教室には壁紙とかカーペットとか絵画とかが置かれた豪華な環境で、クラシック音楽を流しながらコンサートみたいな授業をします。特殊すぎて誰もできない。

 1 これが答え
 2 コグニティブ・アプローチの記述では?
 3 ???
 4 ピア・ラーニングの記述に近いと思います

 答えは1です。

問5 ケース学習

 ケース学習ケーススタディ)とは、実際の事例を通してその問題の本質を探る研究方法のことです。日本語教育であれば、留学生などのカルチャー・ショックの事例を読んでなぜそういうことが起きているのかを1人で、あるいはグループで考えて理解を深めるために用います。

選択肢1

 何か具体的な事例を読んで、それがどうして起きているのかをグループで討論したりして理解を深める活動がケース学習です。この選択肢は正しい。

選択肢2

 話し合う過程で他の人と対話をして、自分ひとりでは気づけなかったことなどを体験できるのでこの選択肢は正しいです。

選択肢3

 事実に基づく事例におけるコンフリクト(何らかの問題)を題材にそれがどうして起きたかなどを考えます。この選択肢は正しいです。

選択肢4

 カルチャー・ショックの事例を扱うのであれば、カルチャー・ショックを受けた留学生という視点だけから物事を見るんでは問題の本質が見えてこないので、相手側の立場に立って考えたりする必要があります。「視点を固定する」という部分が間違い。

 答えは4です。




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