令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題15解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題15解説

問1 長沼直兄

 長沼直兄といえばオーラル・メソッド。オーラル・メソッドを改良して日本語教育に応用しています。

 答えは1です。

問2 国際学友会

選択肢1

 戦後の技術研修生の受け入れは、1953年のインドネシア政府派遣技術研酒精の受け入れが最初となり、彼らに対する日本語教育は国際学友会へと委託された。

 川上(2017: 25)にはこのような記述があります。この選択肢は正しいです。

選択肢2

 『日本学生支援機構(ニホンガクセイシエンキコウ)とは? 意味や使い方 – コトバンク』によると、JASSOの前身は日本育英会、日本国際教育協会、内外学生センター、国際学友会、関西国際学友会だそうです。この選択肢は正しい。

選択肢3

 『日本大文典』を書いたのはジョアン・ロドリゲスです(関 1997: 223)。この選択肢は間違い。

選択肢4

 『国際学友会の歩み(事業の変遷、日本語学校(日本語教室)学生数の推移、創立以来の受入れ学生数一覧、教科書の変遷)』(魚拓)の10ページには、「南方特別留学生」ということで、マライ・スマトラ、フィリピン、ビルマ、ジャワ、南ボルネオ・セレベス・セラムなどの東南アジアからの留学生を受け入れた経緯が書かれています。この選択肢は正しいです。

 答えは3です。

 《参考文献》
 川上尚恵(2017)「技術研修生に対する日本語教育の目的と実践:1959年~1980年代前半までのAOTSの日本語研修を対象に」『神戸大学大学院国際文化学研究科紀要』(49),23-50.
 関正昭(1997)『日本語教育史研究序説』223-224頁.スリーエーネットワーク

問3 1970年代の出来事

 下線部にしたがって1970年代のできごとを探しましょう。

選択肢1

 資格外活動について書かれている「出入国管理及び難民認定法」の改正履歴が全部見れないので、週28時間になったのがいつか分からないままでいます。しかし選択肢4が1970年代の出来事だから、おそらく選択肢1は1970年代の出来事ではないと思われます。今のところ証拠がありませんが。

選択肢2

 日本における留学生の本格的な受入れは、1954年(昭和29年)に、諸外国との友好親善や相手国の人材育成を目的に「国費外国人留学生招致制度」が開始されたことで始まった。

 文部科学省(2023)の『戦略的な留学生交流の推進に関する検討会 とりまとめ』(魚拓)にはこう書かれています。この選択肢は「留学生受入れ10万人計画」の1983年と同年代じゃないので間違い。

選択肢3

 文部科学省高等教育局学生・留学生課(2012)の『日本学生支援機構(JASSO)の概要』(魚拓)の4ページには平成7年(1995年)に短期留学推進制度が創設されたことが書かれています。この選択肢は「留学生受入れ10万人計画」の1983年と同年代じゃないので間違い。

選択肢4

 私費外国人留学生統一試験は,大学学部に入学を希望する者を主たる対象に,基礎学力を測定するための試験として,昭和45年(1970年)から財団法人日本国際教育協会が実施しており,毎年1回,12月に行われている。

 『EJU創設の経緯 | JASSO』の「私費外国人留学生統一試験」のところには↑のように書かれています。この選択肢は1970年代の出来事なので適当。

 答えは4です。

問4 留学生受入れ10万人計画

選択肢1

 総務省(2005)の『留学生の受入れ推進施策に関する政策評価書(要旨)』(魚拓)の6ページには、「留学生受入れ10万人計画」が発表された1983年の留学生について「我が国の留学生数をみると、昭和58年(1983年)に1万428人であった」と書かれています。5万人程度ではなく、1万人程度です。この選択肢は間違い。

選択肢2

 総務省(2005)の『留学生の受入れ推進施策に関する政策評価書(要旨)』(魚拓)の6ページには、国内の留学生数について「平成15年(2003年)には10万9,508人、16年には11万7,302人となっている。」と書かれています。達成されたのは2003年なので、この選択肢は正しいです。

選択肢3

 外国人留学生の安定的な在留及び負担軽減のため、入管法等改正法により、在留資格「留学」への一本化が行われた。

 総務省(2013)の『外国人の受入れ対策に関する行政評価・監視-技能実習制度等を中心として- 結果に基づく勧告』(魚拓)の99ページには、在留資格「留学」と「就学」を一本化した理由についてこう書かれています。留学生受入れ10万人計画がきっかけじゃないのでこの選択肢は間違い。

選択肢4

 グローバル30(「国際化拠点整備事業(大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業)」)は、この計画の達成を目指し、留学生受入体制の整備をはじめとする大学の国際化へ向けた取組を実施し、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる高度な人材を養成することを目的としています。

 文部科学省の『グローバル30とは?』(魚拓)には「留学生30万人計画」を受けてグローバル30の取り組みが実施されたことが書かれています。しかし、グローバル30に採択された大学は30ではなく、13です。この選択肢は間違い。

 答えは2です。

問5 日本語教育機関

 『令和4年度国内の日本語教育の概要』の『令和4年度 日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要』(魚拓)の8ページには次のようなグラフがあります。

 国内の日本語学習者数は  219,808人  で、うち法務省告示機関の学習者数は 95,875人 でした。その割合は  約43.6%  (95,875/219,808)です。

 答えは2です。




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