令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題14解説
問1 菊と刀
『菊と刀』といえば、日本を恥の文化、欧米を罪の文化として論じた名著ですね。
答えは4です。
問2 Japanese Society
中根千枝(1967)の『タテ社会の人間関係』は『Japanese Society』というタイトルで英語に翻訳されています。簡単にいうとこの本では、日本人の集団意識は「場」を重視して「タテ」の組織を作ると述べています。
答えは2です。
問3 日本語科目および日本事情に関する科目
岡崎(1995: 11-12)によると、1962年(昭和37年)4月18日に文部省は全国の大学に「外国人留学生の一般教育等履修の特例について」という通知書を出し、その通知内容の一つに「日本語科目および 日本事情 に関する科目」を設置することが含まれています。
答えは3です。
《参考文献》
岡崎正道(1995)「日本事情教育の視角」『岩手大学人文社会科学部紀要』(56),11-18
問4 文化本質主義
文化本質主義とは、簡単に言うとそれぞれの文化はそれぞれ特有の要素を持っていて、文化同士は決して交わることなく明確な境界を持っているとする考え方のことです。例えば「日本人は勤勉だ」みたいな考え方は日本人なら誰でもそうであって、日本人でなければそうではないというような明確な境界線を持ってして日本文化と異文化を捉えようとしています。このような考え方は異文化の理解を妨げる可能性があるので注意しなければいけません。
1 ???
2 ???
3 ???
4 これが答え。
答えは4です。
問5 高コンテクスト文化
高コンテクスト文化は、コンテクストに依存して言語を使う文化です。その文化の人々が共通して認識していることを背景に話すため、ことばを尽くさなくても意図が伝わったりします。典型的な高コンテクスト文化である日本語は文脈にかなり依存してことばを産出するので、文脈に支えられていれば全てを話すようなことはしません。
これとは逆に低コンテクスト文化もあり、こちらはことばがコンテクストに依存しないで使われる傾向がある文化のことです。人々の共通認識に頼らず話をするため、話し手の意図はしっかりことばにして伝えられます。
選択肢1
窓が開いて寒いとき、日本語なら「なんで窓空いてるの」というように状況を説明して間接的に「窓閉めて」と伝えることがあります。これは高コンテクスト文化の特徴。一方低コンテクスト文化は直接「窓閉めて」と明確に伝える傾向があります。この選択肢は低コンテクスト文化の記述だから間違い。
選択肢2
言語メッセージがより重要な役割を果たすのは低コンテクスト文化です。低コンテクスト文化ではことばではっきりと意図を伝えようとするからです。高コンテクスト文化ではことばで意図を伝えることもありますが、コンテクストに依存して、たとえば非言語メッセージを使って意図を伝えようとします。部屋が寒ければことばを言わずに寒そうな動作をしたりとか。この選択肢は間違いです。
選択肢3
これが高コンテクスト文化の特徴。
選択肢4
低コンテクスト文化はことばで直接意図を伝える傾向があるので、どのように言ったかよりも、何を言ったかが重視されます。この選択肢は低コンテクスト文化の特徴だから間違い。
答えは3です。
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