令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(9)解説
(9)可能を表す動詞
選択肢全部見ると全部可能を表してますが、実は動詞のグループが違います。
五段動詞の可能形の作り方をおさらいしましょう。例えば「飲む」「稼ぐ」のような五段動詞は、語幹に -e をつけることで可能形にできます。次の例を見てください。
【五段動詞の可能形の作り方】
飲む(nom-u) → 飲める(nom-e-ru)
稼ぐ(kaseg-u) → 稼げる(kaseg-e-ru)
この -e が可能を表す形態素ってことですね。で、各選択肢をローマ字にするとどの選択肢も -e が現れることに注目しましょう。この -e を -u にすることで可能形から辞書形を作れますので、各選択肢に対してこの操作を行ってみて辞書形を復元してみます。
1 拭ける(hukeru) → 拭く(huk-u)
2 書ける(kakeru) → 書く(kak-u)
3 洗える(araeru) → 洗う(ara-u) ※正確には araw-u のほうがいいけど気にしなくていいよ
4 歌える(uraeru) → 歌う(uta-u) ※正確には utaw-u のほうがいいけど気にしなくていいよ
5 見える(mieru) → 見う(mi-u)
すると「見える」だけは「見う」という架空の五段動詞が生まれてしまいました。皆さんの中には、「見る」の可能形が「見える」だと思っている方がいるかもしれませんが、一段動詞「見る」の可能形は「見られる」もしくは「見れる」です。一段動詞「見える」は実は辞書形で可能の意味を持つ動詞でした!
なのでこの問題はこうまとめられます。
1 「拭ける」は五段動詞「拭く」の可能形
2 「書ける」は五段動詞「書く」の可能形
3 「洗える」は五段動詞「洗う」の可能形
4 「歌える」は五段動詞「歌う」の可能形
5 「見える」は辞書形で可能の意味を持つ特殊な動詞
答えは5です。
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