令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(7)解説

令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(7)解説

(7)語構成

 「たい」が並んでいますね。「~たい」といえば第一に思い浮かぶのは<願望>だと思います。例えば「飲む」だったら「飲みたい」とすれば「飲む」という動作欲求を表せます。

 【一段動詞】
 起きる(oki-ru) → 起きたい(oki-tai)
 離れる(hanare-ru) → 離れたい(hanare-tai)
 
 【五段動詞】
 飲む(nom-u) → 飲みたい(nom-itai)
 押す(os-u) → 押したい(os-itai)

 少し活用の話をします。
 一段動詞だったら、語尾の ru を除いた語幹に -tai をつけることで願望の形にできます(起きたい、離れたい)。五段動詞だったら、語尾の u を除いた語幹に -itai をつけます(飲みたい、押したい)。この法則にしたがって、各選択肢の -tai ないし -itai を取り除いて ru や u をつけて辞書形に戻してみましょう。このとき重要なのは、-tai を取り除いたら ru をつけて一段動詞にし、-itai を取り除いたら u をつけて五段動詞にすることです。(選択肢1だけはカ変動詞で例外なのでそれができないけど)

 1 来たい         → 来る       ※ カ変動詞だから例外
 2 食べたい(tabetai)  → 食べる(taberu) ※ -tai があるので ru にして一段動詞に
 3 眠たい(nemutai)   → 眠る(nemuru)  ※ -tai があるので ru にして一段動詞
 4 見たい(mitai)    → 見る(miru)   ※ -tai があるので ru にして一段動詞に
 5 走りたい(hasiritai) → 走る(hasiru)  ※ -itai があるので u にして五段動詞に

 ここで気づきたいのは選択肢3です。「眠たい」は -tai がありますから、これを ru にして「眠る」とすることで一段動詞にできるはずです。しかし「眠る」は一段動詞ではなく五段動詞。その証拠に「眠る」の願望形は「眠たい」ではなく「眠りたい」ですね。つまり、「眠たい」は「眠る」の願望形ではないということです。「眠たい」は「眠い」と同じ意で、「~たい」があるんですがこの「~たい」は願望を表しません。「重い」に対する「重たい」、「煙い」に対する「煙たい」みたいなものです。(関連→「重い」と「重たい」の違いは?

 したがって各選択肢の語構成は次のようになります。

 1 「来る」+「たい」
 2 「食べる」+「たい」
 3 「眠たい」はこれで一語
 4 「見る」+「たい」
 5 「走る」+「たい」

 選択肢3だけ単純語で単一の形態素からなりますが、それ以外は活用された語なので形態素境界があり、2つの形態素からなります。
 よって答えは3です。




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