談話標識(discourse markers)
談話標識(discourse markers)とは、「談話の流れを作ること・構成に貢献したり、また、話し手がそのDMの後続部分でどんなアクション(行為)をしようとしているか、何をしようとしているか(例「でも」・but の後のトピック移行や、well の後のためらい・配慮など)を聞き手に知らせるもの」(小野寺 2024: 8)のことです。そうした機能を持つものとして主に「でも」「だって」「てか」などの接続表現や「ええ!」「ああ」「うそ!」などの表出機能を持つ感動詞などが含まれます。また「話を戻します」「これから説明しますね」などの表現もその後の談話の流れを特徴づけるものとして談話標識として扱われます。
A:このイヤホン,音質もデザインも良さそうだよね。でも値段高いし買おうか迷ってる
B:そう,いつも在庫切れで入荷待ちだしね
A:で,実物見ないとわからないから店頭見てみたんだけど置いてなくて
例えば、上記の談話における「でも」は、「でも」の後続文で先行文の内容とは逆の内容が述べられることを聞き手に伝える助けとなっています。その後、BさんはAさんの発話に対して「そう」と反応していますが、これもAさんの発話内容に対する同意の意図を示す表出機能を担う言語形式であり、談話標識です。
参考文献
小野寺典子(2024)『談話標識へのアプローチ—研究分野・方法論・分析例』ひつじ書房
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